Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

信頼と期待と



Vプレミアリーグレギュラーラウンドも残すところあと1週。まだ4強が決まらないので来週が非常に楽しみである。
さてこのリーグ、最大のサプライズはなんといっても、堺のセッター今村選手だろう。

堺は、助っ人エンダキ、セッター金井、センター伊藤、松本と多数の負傷者を抱えながら、まさか現状のような成績を残すことになるとは思っても見なかった。その要因の一つはやはり正セッター不在を11勝6敗という見事な成績で切り抜けた内定セッター今村選手の功績だろう。まさか内定の、しかもセッターがここまでできるなんて誰が考えるだろうか。

セッターはスパイカーとのコンビネーションだ重要であるだけに内定の彼がなぜここまでの結果をおさめることができたのか。才能以外の部分で考えてみたい。もちろん彼が良いセッターであることは疑う余地はないが、それだけではないような気がするのだ。

セッターとスパイカーのコンビネーションというのは信頼感に依るところが大きい。何千、何万本もの練習によって得ることのできる信頼感によって見事なコンビ攻撃が生まれるのだ。
信頼感が薄いとセッターはピンポイントで上げなければならないというプレッシャーからトスミスを出し、スパイカーはしっかりとした踏み込みを行えないことが多く、結果的に決定率が落ち、チーム全体が負のスパイラルに入っていくことも少なくない。

しかしこの信頼感を才能以外で唯一代替するものがある。それがお互いを(人間関係を含め)よく知らないことから来る「期待」だ。
チームに新しく来た人間と元からいる人間は互いに良いところも知らなければ、悪いところも知らない。どういう時にどういうトスが打てて、同様にどういうときにどういうトスが上がってくるのかを知らない。そういった場合人間は良い方を想像して動く。「きっと良いトスが来るはず」、「きっとこのトスは打てるはず」。そういった互いの期待がチームを良い方に循環させる。それが新しい人間を入れたばかりの時によく起こりがちな化学変化だ。

もちろん今村選手にプレッシャーがあまりかかっていなかったということもその一因に上げられるだろう。

そろそろこの「期待」の時期も終わる頃あいだ。決勝ラウンドでその真価が問われる。