Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

バレーボールに戦術的大番狂わせは存在するのか?



昨日、こんなtweetをした。

トップレベルの男子バレーでは結局ジャイアントキリングは不可能なのではないかという気持ちが最近よぎることがある。男子バレーのいわゆるジャイアントキリングってたまたま実力差が逆転してた程度のものでしかないとも。(後略)
http://twitter.com/sputnik0829/status/11641658759

スポーツの世界には「大物食い」(ジャイアントキリング)が存在する。格下のチームが格上の相手から勝利を奪うことである。
このジャイアントキリングという言葉が主に使われるのはサッカーの世界である。wikiの説明が詳しかったのでそちらを引用する。

サッカー競技は、スポーツの中でもっともジャイアント・キリングが起こりやすい、と言われる。これは、他の団体競技と比べて得点しにくいため点差が開くことが少なく(よって1点の価値が高い)、また時の運も点が入る要素として加わることが少なくないことが理由である。そのため日本では、「ジャイアント・キリング」という用語自体がサッカーの専門用語である、と捉える向きも少なくない。
ジャイアント・キリング - Wikipedia

残念ながら、僕が男子トップレベルのバレーボールで本当のジャイアントキリングをこの目で見たことがあるのは1回きりだ。確かに結果だけ見ればジャイアントキリングというのはいくつもあった。昨年の天皇杯豊田合成を撃破した深津長兄の東海大学黒鷲旗で準優勝した金子の東海大、同じく準優勝した黄金世代の法政大学。こういった試合のいくつかは実際に観戦したわけだが、なんというかすんなり格下が勝ってしまったのだ。「格下が勝った」のだが、実力は格下の方があったというか…定義的にはなにも問題なくジャイアントキリングなのだろうが、なんだかしっくりこない。つまり単純に実力差が逆転しており、別に勝ってもびっくりしなかったし、熱く胸にこなかったというか。
そういう意味で僕が本当のジャイアントキリングを堪能したのが2006年の黒鷲旗、予選リーグの東レ-大阪商業大学の試合だ。この試合は2セットダウンから大商大が3セットを取り返すというものすごい試合だった。なんと言ってもこのゲームは現JTの國近が試合後半を支配した。オポジットに位置した國近のライトからの強打やバックアタックをことごとく東レは止められなかった。逆にディアズとはじめとする東レのスパイクが大商大のディグの網の引っ掛かり、國近の切り返しで得点を重ね、勝利を収めた。セッター近藤のトス選択ミスが要所で連発したこともこの思わぬ敗戦につながった。ただ、この大会で東レが優勝したことが僕の記憶を美化している点も否定できないが。
ただまぁ、なんというかこの試合もひとりの選手の爆発と東レの空回りに演出されたものだし、あくまでも理屈ではない部分で堪能しただけだ。

僕が先日のtweetでこのような発言をしたのは、やはり男子トップレベルのバレーボールが非常に番狂わせを起こしにくいスポーツだからだ。格下のチームが極端な戦術をとって、相手を出し抜けるはせいぜい1セット。格上の監督や選手がよっぽどのバカでなければかならず修正を図り、勝利には間に合う。100点先取とかのフォーマットになれば番狂わせはバンバン起こるのだろうが。セット制は番狂わせを抑制させる。
ただ女子では戦術的にな番狂わせは起こり得る。実際に見た昨年の天皇杯の東龍や、一昨年の嘉悦なんかは明らかに相手を研究し、そのストロングポイントを消し、自分たちの長所を最大限に引き出していた。それぞれの選手個人の実力で見れば、負けていたのに関わらずだ。
そういう点だけ見ると男子トップレベルのバレーボールはあまり面白いスポーツではない。