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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

宇佐美大輔の戴冠



今季の展開を考えれば、今日のファイナルの結果はそんな驚くべきものではない。レギュラーラウンドで堺はパナに4勝はしたものの、いつも堺はギリギリで戦っていたし、パナも噛みあっていないなかでの4敗だった。それくらい今季のパナの戦力は圧倒的だった。

僕はてっきり、宇佐美選手がMVPをとるものだと思っていたが、結局は清水選手であった。たしかにオポジットでスパイク賞というのはものすごいことだが、安定した早く長いトスを上げていた宇佐美選手がセッターでなければ取れなかったものだろう。

宇佐美選手は身体能力やテクニックだけでいえば、間違いなく現在日本で一番のセッターであるし、おそらく世界でもトップ20にはいるセッターだろう。しかし、ゲームを壊すという悪癖があった。とんでもないところでクイックを使ったり、まったく展開を読んでいないトス回しをしたり、余裕が出ると遊び始める、といったことだ。

2年前のプレミアリーグ決勝でも、宇佐美選手は優勝決定の場面にこそ立ってはいたが、そのシーズン、確固たる地位を得ているわけではなかった。スタメンで起用されることが多かったが、試合途中で変えられることも多く、重要な試合ではスタメンを外れることも多かった。現にその年の決勝もスタメンは岩田選手だった。 

昨年までの宇佐美選手はスパイカーが打てないと顔を歪めたり、時にはスパイカーに対して高圧的な態度を見せることもあった。そこから自分でゲームを壊してしまうという展開が非常に多かった。キャプテンを1年で変えられるというのは、やはりそのあたりの問題もあったのだろう。

しかし、今季の彼は違った。例年に比べ、声を荒らげる場面も格段がへったような気がしたし、なんというか非常に堂々として見えた。そして、ゲームを壊す場面も格段に減った(セミファイナル進出が決まったあたりで少し遊び始めたきらいはあったが…)。バランスのよいトス回しに終始し、勝負どころをわきまえていた。

お前は何様だという批判は甘んじて受け入れるが、この1年で宇佐美選手は非常に「大人」になった。全日本でのキャプテン経験が彼を変えたのだろうか?たしかに往事のフィジカルの強さはなくなったかもしれない。高さもなくなったかもしれないが、いよいよ本当のトップセッターになろうとしている。
9月、彼のイタリアでのトス回しに期待したい。

先日のエントリーで紹介したCEVチャンピオンズリーグのファイナルは、ポーランド大統領の墜落事故を受けて、急遽延期となった。大統領他亡くなった方のご冥福をお祈りします。