Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

世界選手権の大会方式を比較する



今回、組み合わせを有利にするため、いくつかのチームがベストな姿勢でゲームに望まなかったことが大きな問題になりつつある。
FIVB会長は処罰も視野に入れて検討するなんていってるが、ちゃんちゃらおかしい話。その時点でのベストチームだったと言い張れば、それ以上の追求が出来ないのは明らかであるし、テメーが認めた大会方式に問題があるんだろうがという話である。

世界選手権は確かに歴史も長く、権威ある大会だが近年では毎回大会方式が変わるといういまいちな面もある。
おそらくであるが大会方式の決定権はオーガナイジングコミティー(開催地組織委員会)にあるものと思われる。それは男女とも日本開催となった前回大会で男女同じものだったのが、今回イタリア開催の男子は方式が変わって、日本開催の女子は前回と同じというところから見ても明らかだろう。
その選択は、やはり開催国のメリットを増やすという面でなされているように思う。開催国が優勝しやすいように、開催国がより長く試合ができるようにがそのメリットにあげられるだろう。

1998年(開催地日本)

1次ラウンド

4チーム6プールで総当たり戦を行い、上位2チームと3位チームのうち成績のよい4チームが勝ち上がり。
24チーム→16チーム

準決勝ラウンド

8チーム2プールで総当たり戦を行い、上位2チームが1-4位決定戦、3,4位チームが5-8位決定戦、5,6位チームが9-12位決定戦へ。
16チーム→4チーム

決勝トーナメント

準決勝ラウンドの上位各2チームがたすき掛けで準決勝を行い、勝者による決勝。
4チーム→2チーム→1チーム

優勝までには12試合を要する。最少は3試合が8チーム。

この大会方式は準決勝ラウンドが恐ろしく長い。逆に言えば準決勝ラウンドに進みさえすれば16チームが最低でも10試合できる。つまり10試合も日本戦の中継が出来るということだ。

2002年(開催地アルゼンチン)

1次ラウンド

4チーム6プールで総当たり戦を行い、上位2チームと3位チームのうち成績のよい4チームが勝ち上がり。これは前回大会と変わらず。
24チーム→16チーム

2次ラウンド

4チーム4プールで総当たり戦を行い、上位2チームが準々決勝に進出。
16チーム→8チーム

決勝トーナメント

8チームによるトーナメント
8チーム→4チーム→2チーム→1チーム

優勝までに9試合を要する。最少は3試合が8チーム。

正統派の大会方式。準々決勝からトーナメントがスタートというのは、過去4大会でこの2002年だけ。一発の強さが問われる。開催国アルゼンチンも無敗で準々決勝まできたもののそこで敗れた。

2006年(開催地日本)

1次ラウンド

6チーム4プールで総当たり戦を行い、上位4チームが2次ラウンド進出。
24チーム→16チーム

2次ラウンド

8チーム2プールに分けて、総当たり戦。ただし1次ラウンド上位4チームづつが同じプールに入るので、1次ですでに対戦した相手との成績は2次に持ち越される。つまり7試合やるところを4試合ですませる。上位2チームが1-4位決定戦に進出。
16チーム→4チーム

決勝トーナメント

2次ラウンドの上位各2チームがたすき掛けで準決勝を行い、勝者による決勝。
4チーム→2チーム→1チーム

優勝までに11試合を要する。最少は5試合が8チーム。

この大会方式は今回の女子大会も同様のもの。
この大会方式も多くの国が長く試合できる。16チームが最低9試合できる。また組み分けによっては1次ラウンドの成績がベスト4を決めることもあるので、上位に進むのが簡単な大会方式でもある。

2010(開催地イタリア)

1次ラウンド

4チーム6プールで総当たり戦を行い、上位3チームが2次ラウンド進出。
24チーム→18チーム

2次ラウンド

3チーム6プールで総当たり戦を行い、上位2チームが3次ラウンド進出。
18チーム→12チーム

3次ラウンド

3チーム4プールで総当たり戦を行い、上位1チームが1-4位決定戦に。
12チーム→4チーム

決勝トーナメント

3次ラウンドの各プール1位が準決勝を行う。
4チーム→2チーム→1チーム

優勝までに9試合を要する。最少は3試合が6チーム。

今回問題になった最大の要因は3チームプールという近年では見られない大会方式である。3チームプールでは1勝で3チームが並ぶケースが多く、その場合は得点率が採用される。なので1試合圧勝すれば、ある程度順位を選択することが出来る。今回2次ラウンド→3次ラウンドでは6プールを4プールにするのだから、当然1位チームが2つ入るプールと1つだけのプールが出来る。そのため、わざと2位を選択し、その1位が集まるプールを避けるというのは「優勝」のためには常套手段とも言える。
しかもあまりに開催国イタリア有利になっていることも反感を買っている。ベスト4のうち、ここまで唯一無敗なのはイタリアだけだ。
さすがにこの大会方式で国際大会が開かれることは2度とないだろう。