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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

リベロ交代自由制が流行らないであろうワケ



国際バレーボール連盟(FIVB)は10日までローマで開催されていた総会で、正リベロと控えリベロを1試合に何度も交代できるように規則を改正した。従来は1試合に1度と制限されていた。新規則は来年1月に適用される。(共同)
【バレー】リベロ交代回数を制限せず FIVBが規則改正 - MSN産経ニュース

このエントリーはあくまで上記のルールが僕の想像の範囲内で適用されることを前提としていることをご了承願いたい。
もし審判の方がこのエントリーをご覧になって、おかしいところがあればご指摘願いたい。
これが適用されると、もっと戦術の幅が広がるという方も多いわけだが、実はそうでもないと僕は思っている。


例えばリベロ交代自由制になれば、レセプションの上手いリベロとディグの上手いリベロをサービングフェイズとレシービングフェイズで使い分けたら良いという方がいるかもしれないが、これは現実的には出来ない。フローター専門リベロやドライブサーブ専門リベロといった使い分けも現実的にはできない。


それは日本の高校で適用されているリベロ二人制とは決定的に違うからだ。
日本の高校であれば上記の戦術は出来ないことはない。
高校でのリベロ制は二人のリベロが一人づつ、自由にコートを出入りできるのに対し、このルールはあくまで一人のリベロがコートを出入りできて、その1枠を二人が交代できるというものなのだ。


その辺はこちらが詳しい。
>歩観n普及 タイムとメンバーチェンジとリベロ制 [ルール]


リベロの交代回数が自由になったところで二人のリベロを使いこなすには常に選手交代のプロセスを経なければならない。
そして、リベロがコート上にいる時は選手交代を行うことが出来ない。リベロがベンチにいるときのみ交代を行うことが出来る。
つまりリベロの交代はセット頭に行うことをのぞけば、リベロがコート上にいないラリーを一つ挟まなければすることができない。これは戦術的なオプションとして二人のリベロを使いわけることが難しいことを意味する。
当たり前だが、サーブレシーブが崩れたからリベロを替えるということも、そのリベロを一度ベンチに戻して、リベロなしで1ラリーを経るというリスクを背負わなければならないので、現実的ではない。
二人のリベロが3ローテづつを担当するということは出来るし、序盤と終盤でリベロを使い分けるということもできるわけだが、どちらもする意味が大してないように思われる。


高校のリベロ二人制はよくできたもので、こちらは戦術のバリエーションが広がるものだと思う。どうせならこちらの国際的にこちらのルールにしたらおもしろいのに。


結局リベロ交代自由制がもたらすのは、リベロの交代に対するリスクの軽減でしかない。現行ルールではたとえばセカンドリベロに経験を積ませたくても、交代は試合の間に1回しかできないので、もしかするとという考えが交代を敬遠させてきた。


ただ結局のところ、このルールができたところでベンチ入りが12名ならば、リベロをベンチに二人入れるチームがわずかであることはたしかなことだ。

(20110501追記:ルールの解釈を間違っておりました。→http://d.hatena.ne.jp/sputnik0829/20110421/p1 )