Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

攻撃型?守備型?



今年、新たにサントリーの「ヘッドコーチ」に就任した荻野氏だが、チームを攻撃型から守備型に移行したという談話を各所でしている。

 男子では、北京五輪で日本代表を務めた荻野正二監督率いるサントリーに注目。プレミアリーグでは開幕4連勝と好調で、8月に就任したばかりの指揮官は「攻撃型から守備型に変えた。1つでも多く勝てるよう頑張りたい」と話した。
【バレーボール】「全員で勝ちに行く」と木村沙織 全日本バレー16日開幕 - MSN産経ニュース

今オフシーズンは新体制の下、これまでのチームの特徴であった攻撃的なスタイルから、守備型チームへチェンジし、最後までボールを諦めないプレーを徹底して強化しました。  
今シーズンの抱負-2010/11 V・プレミア男子編 - バレーボール Vリーグ オフィシャルサイト

バレーボールにおける攻撃型、守備型とはいったいどういうことだろか。


たとえばサッカーで考えて見ると、攻撃型とはボールのポゼッションを高め、細かいパスワークから大量得点を狙うことをいうだろう。守備型とは、ゴール前を固め、少ない人数のカウンターで得点を狙って最小得点差で逃げ切るチームを思い浮かべる。もちろん守備的なポゼッションも攻撃的なカウンターもあるにはあるだろうが、あくまで一般論として。


たとえば、野球に置き換えて考えて見ると、攻撃型とは打線に強打者がずらりと並ぶ巨人のようなチームを連想させるし、守備型と言えば、投手力を活かして点を獲られない野球を言うように思う。
もちろん野球では両方が並び立つこともあると思う。


ではバレーボールではどうだろうか。やはり攻撃的というと、スパイクの攻撃力が高くて点をばんばん獲るというイメージを思い浮かべるし、守備的というとレシーブがものすごく上がって、全然コートにボールが落ちないというチームが最初に思い浮かぶだろう。


バレーボールではサーブを受けるチーム、つまりサーブ権のないチームの方が得点確率が高い。Vリーグなら70%前後だろうか。
それはやはりテニスと違って、ボールに3回触ることができ、攻撃の態勢が整えられるので、最初にアタックできるチームの方が有利だからだ。
ここでちょっと立ち戻ってサイドアウト制で考えてみよう。
サーブレシーブからの攻撃力の高いチーム、つまりサイドアウトが良くできるチームは点を獲られない。点を獲られないのが、守備的であるという定義ならば、アタックの攻撃力が高い方が守備的ということができる。
そして、点を多く獲るのを攻撃的と言うならば、守備力が高く、相手チームのサーブレシーブからのアタックを拾って多く攻撃につなげられるチームが攻撃的ということもできるだろう。
ルールはラリーポイント制に変わったが、本質の部分では変わらない。ラリーポイントでもサイドアウトをとり続けている間は絶対に負けないし、サーブ権のあるときに点を獲らない限りは絶対に相手に勝てない。


詭弁のようであるが、まあ、こういう考え方もあるということで。たとえば、オポジットも含めて、サーブレシーブの上手い選手ばかり入れることを守備的ということもできるだろうし、サーブレシーブ無視でスパイク力のある選手ばかり揃えることを攻撃型ともいうだろう。
攻撃型、守備型と2つに分けるだけでもいろいろ定義できるバレーボールという競技は複雑で、そしておもしろいのだ。


まあ、荻野さんはこういう意味で言っているわけではないわけで。
現在サントリーはスパイク決定率が6位ながら、4戦全勝でプレミアリーグのトップを走っている。
おそらくはスパイク決定率の低さを、ディフェンスを向上させ、攻撃機会を増やしラリーを勝つことで、補おうということだろう。
実際に現在サントリーはセットあたりでも一番高いアタック打数を残している。1位のチームが一番アタック打数が多いというのはなかなか珍しい。
ただそのディフェンス力にオフェンス力が追いついた時に本当の意味で恐ろしい攻撃型のチームになるだろう。