Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

クネオのコート上に7人!?事件詳細解説



まずは動画を。
www.youtube.com

試合通しはこちら。
http://www.laola1.tv/en/int/volleyball/cev/lube-banca-marche-macerata-bre-banca-lannutti-cuneo-/video/484-3004-110847.html


6日のCEVチャンピオンズリーグファイナル6のクネオ対マチェラータ*1
その試合中にコート上に7人いて、ポジショナルフォルト(でいいのかな?)をとられるというちょっとした事件が起こった。コート上に7人というのはそこまで珍しい事象ではない。一番多いのが、ミドルがサーブを打つローテでリベロがコートから出忘れるというときだ。しかしながら、今回はサイドアウトの局面で7人である。これはなかなか見たことがない。非常に特異なケースといえる。多少、複雑なコンテクストを読み解く必要があるので、ちょっと解説してみたい。
笛が鳴る前に誰か、気づけよと思うわけだが。


まず前提条件として知っていただきたいのは、クネオは年が明けたくらいで軸中の軸であるミドル、マストランジェロが謎の離脱をしてしまったということである(監督?フロント?との確執と言われているが)。
加えて、監督のピアッツァはそのポジションにミドルの控えを入れるのではなく、あと5年もたてば世界で三本の指に入るであろうオポジット(もうなってるか)、ブルガリアのソコロフをそこに据えて変則のオーダーを組んでいるということである。


つまりこの日のスタメンは、

アントーノフ ソコロフ ヌガペット
ワイズマン  コフート グルビッチ デ・パンディス

であった。ちなみにオポジットに入っているアントーノフはあのアントーノフの息子であり、国籍はイタリア人である。ソコロフは前衛では普通にミドルブロッカーとして仕事をするが、アントーノフとソコロフがそろって後衛になるS4、S3のローテーションではオポのアントーノフにリベロが入り、ソコロフがライトからのバックアタックを打つ。
わざわざこの布陣を敷くのは、やはり攻撃力を求めてだろう。3人目のミドルであったロッシはまだまだ鈍いという部類に入るミドルなので、多少のブロック力を捨てても、この布陣をとったというのは想像に難くない。


で、本題。1セット目を17点で落とし、2セット目のスタートもザイツェフのサーブで0-3にされてしまう。ここで、ピアッツァはアントーノフのポジションに控えのミドルであるロッシを投入した。つまりはミドルのポジションでオポジットの役割もこなしていたソコロフの隣にミドルを入れてしまえば、役割的にはソコロフがオポに専念できるという発想である。
役割的にこうなる。

MB MB/OP WS
WS  MB   S


とまぁ、役割を入れ替えてしまえばポジションが逆でもそれなりには機能するのだ。


確かにヌガペットをミドルに入れていた時期もあったし、そのへんで調整すれば不可能ではないが、当然不具合が出てくる。それがローテーションが二つ回ったS5ローテーションでコート上に7人という最悪の形で噴出したわけだ。

S5

コフート  ワイズマン   ロッソ
グルビッチ ヌガペット ソコロフ

起こったのはこのローテ。前衛にミドルが2枚という状況に陥っている。写真の番号でいえば、2番と7番。S5でオポのポジションにミドルがいるわけだから、ライト側の攻撃者いない。
ソコロフ「アントーノフいないんだから、俺しかいなくね?」→ポジション的にはミドルなので、リベロと変わる必要があった。→けどリベロと代わらずコートに残る。→リベロ誰とも代わらずにコートに入る→コート上に7人という事態が起こった。
このような状況を監督も選手も想定していなかったのだろう。思いつきでミドルをオポに入れてしまったのだろうか。
で、混乱してしまいコート上に7人入ってしまった。


直後、監督はタイムをとって、なんとか図で説明した。




というのが、2時間ドラマであれば、1時間くらいのところで間違った容疑者があがってくるところあたり。まだまだこれには続きがある。
先ほどの写真。7人いることを無視したとき、S5のローテーションであれば、サーブレシーブの3人の並びが通常と違うのにお気づきだろうか。
相手から見て、通常|リベロ ヌガペット ワイズマン|が|ワイズマン リベロ ヌガペット|となっている。
前衛であるワイズマンが通常レフト側でパスするところであるが、ライト側にいる。
先ほど監督が図示したとおりのフォーメーションは一応組んでいる。
つまり、ピアッツァ監督はこのような状況を想定しており、選手にはオポジットにロッシが入ったら、このような陣形を取れ、ということまでは伝えていたはずなのである。
コフートはロッシよりは器用なようので、彼をレフト側で攻撃させ、ロッシがクイック、ワイズマンがライトから、ヌガペットがパイプ攻撃して4枚の攻撃を確保するという意図までは伝えっていなかったというのが想像できる。


結果、コフート、ロッシがともにクイックに入ってしまい、加えてグルビッチは前衛の選手が誰もいないレフトにセットしてしまう始末。選手はこのやりなれない布陣にあたふたしてるうちにコート上に7人いることにすら気づかなかったというのが、真相であると僕は思う。まぁ、単にソコロフが言われたコト覚えてなかったってのもあるだろうけど。




要するにこれは監督の考慮不足が原因ではなく、選手に陣形だけでなく、ちゃんと意図を伝えられなかった伝達不足に問題があった。まぁ、それを含めて考慮不足といえなくもないが。
なんにしろ、変則オーダーを組む場合はご用心ということであろう。そういう意味では今はだいぶ落ち着き気味であるが、変則オーダー扱わせたら坂本監督、蔦宗監督って世界で20指くらいに入ってくるんじゃなかろうかと思ったり。あくまで変則使いってところがね。


へたくそな図を含め、朝起きてからばばっと書きなぐってしまったので、説明が雑なところがあるかもしれません。
もし、「?」なところがあれば、ぜひご連絡ください。

*1:チャンピオンズリーグでは決勝大会となるファイナル4に進むチームの国をできるだけ増やしたい配慮から自動的にここは同国同士の組み合わせとなる。