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Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

2014CEVチャンピオンズリーグ決勝レビュー



欧州最強のクラブを決める2014CEVCLはロシアのベルゴリエ・ベルゴロドの優勝で終わった。準優勝はトルコのハルクバンク。
とりあえず動画を。


ラオラでも見ることができる。
VIDEO/FINAL-HALKBANK-ANKARA-BELOGORIE-BELGOROD | LAOLA1.tv
画質はラオラのほうがきれいかも。


2014 CEV DenizBank Volleyball Champions League - MFinal Four in ANKARA (TUR) (F-004) Halkbank ANKARA - Belogorie BELGOROD
予選ラウンド、プレイオフ含め無敗での完全優勝。テチューヒン、ムセルスキー、イリニフ、コーサレフ、ジガロフと控えにまでロシア代表クラスを揃え、イタリア代表のセッター、トラビツァ、ドイツのオポジット、グロゼルが助っ人と、ビッグチームとして圧倒的な選手層を見せつけた。


決勝を一言でいうなら、アメイジングテチューヒン!なのだが、ちょっとずつ進めていく。
第1セットのラインナップは以下。




さっそくだが、この試合のキーになったのがテチューヒンのサーブとハルクバンクのS1ローテーションのマッチアップ。
このマッチアップが1,2,4セットで発現したのだが、ハルクバンクはこのサーブに苦しんだ。
サーブ自体というより、テチューヒンが徹底して、ユアントレーナを狙ったことが、この試合のポイントであった。
この試合、このハルクバンクのS1のサイドアウト率は極端に低い結果になっているだろう。


まずユアントレーナがテチューヒンのサーブに対して、とことん相性が悪かった。
この試合、ユアントレーナはテチューヒン以外のサーブに対しては、うまく処理できていたので、調子、スキル云々よりは相性だろう。
ユアントレーナが前衛ということを勘案しても、リベロがある程度カバーしてユアントレーナの守備範囲を狭くしていくべきだったのだが。
リベロヌリ・シャヒン(同じ名前のサッカー選手がいますが)は上手いリベロなのだが、やはりこういう大舞台の経験が不足していたように思う。もちろん去年のCEVカップ優勝などのキャリアはあるが、CEVカップとチャンピオンズリーグの大舞台感の差は雲泥のものがある。
この場面もそうだし、シャヒンがテチューヒンのレフトからのインナーを何本かあげることができていれば、結果も変わっていたかもしれない。


S1の話を続けるが、オポジットのジュリッチはオリンピアコスでの1年間やギリシャ代表でオポジットの経験があるとはいえ、まだまだミドルのキャリアのほうが長い選手。やはりレフト側から打つのはまだまだ不得手。
ユアントレーナをサーブでつぶしてジュリッチ1枚にしてしまえば、ベルゴロド側は一番ブロックの低いローテであったが仕留めるのは容易。
しかもこの試合、ラファエルは他のローテでもカジースキのパイプを一本も使わなかった。これがちょっと個人的に引っかかってるところ。カジースキのパイプを使えばもっと簡単にサイドアウトできる場面も多かったのだが。
1セット目はこのテチューヒンのサーブで一気に突き放し、25-18でベルゴロドが先取した。


2セット目は途中までベルゴロドリードで進んだものの、ユアントレーナのサーブでの3連続ブレイクもあり、ハルクバンクが25-22で取り返す。


2セット目を取ったにもかかわらず、ストイチェフが動いてきた。やはりこのS1の問題と、カジースキとグロゼルの相性がよくないこともひとつの要因だろう。
ローテ上はひとつしか回していないのだが、ベルゴロドのシプーリン(いや、コルチンというべきか)はパスでS6、サーブでS1というよくわからない采配をしているため*1、結果的には1、2セット目と半周ずれるマッチアップとなった。

僕も見ていて、これでフルセットは行くかなと思っていたのだが、これには問題があって、それまではムセルスキーとのマッチアップがマウリシオ・ソウザだったのが、エムレ・バトゥールになってしまった。エムレ・バトゥールも201cmあるのだが、あんまりミドルエリアのブロックうまくない。なので、3セット目はムセルスキーにぼかすかやられて16-25という結果に。
ジュリッチが少しガス欠気味になったことも大きい。テンション的に少し飛ばしすぎているとは思ったが、やはりな結果に。
彼は国内リーグでは外国人選手枠の関係でベンチから外れる機会も多く、コンディション的な問題もあったかもしれない。


4セット目は、なぜかストイチェフはマッチアップを戻しちゃったんだよね。
まあ2セット目これでとっているというのはあるし、ムセルスキーを何とかしなきゃというのはわかるのだが、せめてテチューヒンのサーブとS1を当てるべきではなかった。やはりストイチェフにとっては、ベンチにアシスタントコーチのセルニョッティがいないのが、あまりに大きすぎる損失だった。
22-18でハルクバンクがリードしていたが、テチューヒンのサーブで22-23にされてしまい、ハルクバンクは勢いを失い、そのままゲームセット。


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以前書いたのだが、ハルクバンクというチームは今シーズン、財政難のトレントから監督と選手4人*2を一気に獲得するという離れ業をやってのけて、一気にビッグチームとなった。ファイナル開催国枠で準決勝を決めてしまうのも離れ業といえば、離れ業だが。ちなみにハルクバンクの去年の監督は今JTのヴコヴィッチ監督。


あくまで仮説ではあるが、こういった突然の大補強はチームに歪みが出てくるもの。
たとえばリベロのシャヒンは慣れ親しんだ背番号5をユアントレーナに譲っている。また、国内リーグでは外国人が3人しか出場できないため、カジースキ、ユアントレーナ、ラファエル、ジュリッチの誰かはベンチを外れ、そのポジションをトルコ人が担うが、欧州リーグでは人数制限がないため、試合に出るトルコ人はリベロのシャヒンとエムレ・バトゥールだけ。
そういった中でハルクバンクは、試合中でもチームとしての一体感、結束感に少しもの足りない部分があったことは否めない。
シャヒンがユアントレーナをカバーしきれなかったのも、このあたりの感情の機微があったのかもしれない。


また、ハルクバンクは前述のように開催国枠でファイナル4に出てきたため、厳しいプレイオフをくぐり抜けてきてない。選手のポテンシャルという意味ではベルゴロドと差はなかったのかもしれないが、ずっと同じチームで国内リーグも戦っているベルゴロドと外国人選手をフルで使える機会が欧州リーグしかなく、その試合数も少なかったハルクバンクがチームとしての成熟度に差がでるのも当然といえる結果だったように思う。



MVPは納得のテチューヒン。テチューヒン、75年生まれの38歳。日本で言えば、朝日選手や津曲選手の年代。
まったくこのおっさん、すごすぎる。

*1:パスでS1、サーブでS6はよく見られるが

*2:カジースキ、ユアントレーナ、ラファエル、ジュリッチの4人。執筆時はまだ3人しか決まっていなかった。