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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

千葉進也の引退



堺ブレイザーズ - BSCニュース

昨日、堺ブレイザーズ千葉進也選手の引退が発表された。リーグを直前に控えたこの時期の発表は、ぎりぎりまで復帰にむけて、準備をしてきたがやむを得ずというところなのだろう。

彼のキャリアを振り返ると、一番輝いていたのは、2005年のVリーグから翌年の世界選手権にかけてだろう。
2005年、第12回Vリーグ石島雄介という触媒の力はあったが、MVPにふさわしい活躍だった。
2月中旬からの9連勝、特に二日ともフルセットにもつれた決勝は、まさに圧巻であった。高いテクニックを備え、ストイックそうな雰囲気を持つ千葉選手は、例えるならそう、カントナのようなコート上のキングだった。(エリック・カントナ - Wikipedia)。
さすがにエゴイストという面であそこまでではないが・・・。

その放つオーラには独特なものがあり、すべてのプレーを平均点以上にこなした。
狙いすましたサーブ、身長を感じさせないブロック、そつのないサーブレシーブ。幅の広いスパイク。
現代では少なくなった、まさにオールラウンドプレーヤーであった。しかし、そのプレーは以前書いたように、天才的なものではなく、秀才的なもので、努力の賜物といえるようなものだった。またそれがその風貌と似つかわしくないので、なんというか痛快な気分になったものだ。

日本代表としては2006年の活躍が記憶に新しい。
Vリーグの活躍から2度目の代表入りした千葉選手は、昨年その位置にいた荻野選手に替わって、当初はオポジットをつとめた。ワールドリーグでは、セルビアに勝ち星を挙げた試合が印象的で、鋭い時間差を何本も決めていた。その後、チームは攻撃型のフォーメーションとして、山本選手をオポジットに配すことになるのだが、彼がベンチにいることにより、安心して戦術を移行出来たように思う。
その後もアウトサイドの控えとして、荻野選手とともに現在の米山選手のような立ち位置でチームの危機を幾度も救った。特に世界選手権のカナダ戦、プエルトリコ戦での人差し指を天に突き上げるガッツポーズを記憶されている方も多いだろう。
代表には2007年までいたが、ちょうど福澤選手に押し出されるような格好で、姿を消した。
やはり、186cm(もっと低いように見えるが)という小柄な体はケガも多かった。今回のケガは非常に残念であった。

千葉進也という選手は主役の選手を輝かせることで、さらに自分を輝かすことの出来るプレーヤーであったように思う。
なんというかバイプレーヤーの枠を超えたバイプレーヤーみたいな。自分の立ち位置のとらえ方が非常にうまい選手だったのではないか。
そんなプレーヤーがこれからも出てくることを願う。