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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

イタリアの外国人枠



イタリアの2011/2012シーズンの各チームの陣容が決まった。動画を見れば各チームの陣容が見られる。トレビソもなんとか形を変えて生き残ることが出来た。思ったより、主力の流出も防げた。越川選手もセリエAの選手の一員となった。
イタリアでは、基本的にこの時期にチームのメンバーを確定させなければならない。しかも14人以上の登録はできない、なかなかシビアな世界である。


さて、今日はイタリアの外国人枠に関して。
外国人枠はそのリーグのレベルに直結する事案であり、その国のナショナルチームの強化にも関わる重要な問題である。少なすぎるのも問題であるが、多すぎるのも問題である。多いとたしかにリーグのレベル自体は上がるのだが、結局は攻撃力のある外国人ばかりになり、国内選手は脇を固めるプレーヤーしか育ってこない。逆に少なすぎると国内選手が多くの出場機会を得るが、その国のバレーレベルによって、リーグのレベルも規定されてしまうなかなか難しい問題だ。


イタリアでは外国人の枠に関して少し変わったスタイルを用いている。それは、チームに何人の外国人がいてもかまわないが、コート上(リベロ含む)には常に3人以上のイタリア人がいなければならないというルールである。ほとんどのチーム(7割くらいか)がこのルールぎりぎりでコート上には3人のイタリア人しか置かないプランでチームを固めている。ここで問題になるのは、そういったチームのイタリア人が調子が悪かったり、怪我したりした場合のプランまで考えておかなければならないという点である。


スタメンであるイタリア人の代わりとなるイタリア人選手がいればいい話だが、もしポジション的に代わりのイタリア人を入れられない場合は、その選手は外国人に替え、ほかのポジションにイタリア人を入れなければならない。と、なるとすべてのポジションに一応、一人以上のイタリア人がいるのがベストな選択となる。つまりはコート上に3人以上のイタリア人という規定でも、リスクマネジメントに基づけば、結果的には多くのイタリア人をベンチに入れなければならない。


ただそれを避けるために、ポジションごとに外国人を使うポジション、全く使わないポジションを完全に区別しているチームなんかもあったりして、おもしろい。早い話、ミドルかサイドと、リベロさえイタリア人で固めてしまえば、イタリア人枠に関して、「今、コート上のイタリア人は何人だ?」なんて気は全く使わなくてすむのだ。


ただここでひとつの疑問が浮かび上がる。
「コート上にイタリア人が3人以上いなければならない」と「コート上に4人以上の外国人を使ってはならない」は、言葉は違っても運用上の違いはない。そこであえて3人以上イタリア人を使わなければならないと言っているのになにか理由があるのだろうか。あくまで仮説であるが、それはリーグの面白さを第一に考えているからなのかもしれない。4人以上の外国人を使ってはならない、というとあくまでイタリア人のリーグということを前提に考えた「助っ人」という感じだ。しかし「イタリア人を3人以上使わなければならない」だと、世界中の選手が集まる世界一面白いリーグを目指して、国内弱体化を防ぐためにイタリア人は3人入れようよというニュアンスになってくると思う。
もし理由をご存知の方がいらっしゃったら、ご教授願いたい。


考えすぎだろうか。単にイタリア人の枠作っとかないとやばいよね、という意図からきているかもしれないし、なんともいえない。イタリアの外国人枠に関する歴史がわかれば、もう少し踏み込んだ考え方ができるかもしれない。


やはり、その国のリーグと代表の強さは密接につながるものであるが、基本的にはまったく別の次元の話である。もちろん強いリーグが強い代表につながることは間違いないのだが、代表の強化のために存在するリーグなんて反吐がでる。オリンピックイヤーになったら目指せ○○(開催地)とか、○○につながるとかいうキャッチコピーを打ち出すようなリーグが、本当におもしろいリーグを目指しているのかと疑いたくもなる。