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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

退団発表はどのタイミングがいいのか



時事ドットコム:津曲、坂本が引退へ=バレーボール


大多数がプロではない日本の男子バレー界において、選手の退団発表、また本人への通告をどのタイミングで行うかというのは、非常に難しい問題である。日本バレーのサイクル的にはリーグ前、リーグ後、黒鷲後の3パターンが基本的には考えられる。


今回のサントリーのケースのリーグが始まる前の退団発表というのは異例に近い。他では、同じくサントリーが2009年に荻野監督が現役引退をするときに、リーグ前に勇退発表した例くらいしか思いつかない。結局、チーム柄というのもあるが、誰もがまぁ、そろそろありえるなと思える時期であり、しかも結果を残したベテランだからこそできる対処ともいえる。


リーグ前のこの時期に行うことで、ファンとしては最後の姿を目に焼き付けるチャンスも多く、心の準備も付きやすいかもしれない。また本人たちもこれが最後と思えば、後輩たちに残せるもの、伝えられるものはすべて託すことができるだろう。同時に後輩たちも盗めるものは盗もうとさらに思うだろう。加えて、彼らほどの結果を残してきたベテランであれば、最後に優勝で引退を飾りたいという思いがモチベーションになる。そういう意味では、この判断は正しいのだろう。


ただ、まだまだ30前という選手の場合ではこうはいかない。そういう選手でも能力やチーム事情によっては、退団を迫られる場合もある。
黒鷲後に発表というケースでは、ファンがその選手の最後の姿を見られずに終わってしまうということもあるだろうし、本人にとって悔いの残ることになることもあるだろう(悔いの残るようなプレーをしてほしくはないのだが…)。しかしながら、そういう選手の退団をリーグ前に発表してしまっては、「どうせ今年で終わり」という思いがその選手、ひいてはチーム全体のモチベーションに問題をきたす可能性が大いに考えられる。しかも、逆にそういう選手が活躍した場合には、そもそも退団の必要があるのかという根本的な問題にまで発展してしまう。



リーグ後に発表、黒鷲後に退団というケースでも、黒鷲までの練習のモチベーションとか、逆に黒鷲でその選手を使わざるをえなかったりと、どのようなパタンでも結局は一長一短なのだろう。
この問題にはっきりとした正解はないのだろうと思う。ただ選手にもファンにも悔いのない形でキャリアを終えてほしいと願うばかりである。