たとえば左利きのオポジットといえば、アンドレがいるし、ラスコがいるし、清水がいる。ヨルダノフ、スタロビッチ、エルナンデスもね。
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http://www.youtube.com/watch?v=bVbKPP6F9QYwww.youtube.com
たとえば左利きのアウトサイドといえば、デニスがいるし、ホセ・リベラがいるしガエミがいる。コバチェビッチもいるし、リネールもいるし、フデチェク、ラッパスもいる。ノボトニーもできるし、ジーベックなんかもそうか。彼らのほとんどがストレートを抜いて、ブロックの裏に落とすいわゆる裏打ちが非常にうまい。
たとえば左利きのセッターといえば、リカルドがいるし、デペステレがいる。ティッシャー、フレリクスもそうだ。
ツーアタックがしやすいという利点もあるし、ブロックもライトサイドでは左利きのほうが助走がしやすい。
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ただ左利きのミドルというのはほとんど見ることがない。もちろん日本では南由紀夫、伊勢隆一、大道大輔はじめ何人も知ってはいるが、国際大会ではほとんど見ることがない。強いて言えば2009のインドジュニアでレナンがミドルしてるのを見たことがあるくらい。
もちろん世界中にいることはいるのだろうが、レジェンドクラスの選手となると一人も思いつかない。
なぜ左利きのミドルがトップレベルであまり多くないのかということを考えると、まずは単純に絶対数の違いに起因していて、100年単位で見ていけば少しは出てくるのではないかという点。やはり左利きに対する固定観念というものが大きいし、左利きはどうしてもまずはオポジット、パスもできればサイドという順番でポジションに据えられ、ミドルというのは一番最後になるのではないか。
バレーボール的に見てみると、左利きとなるとセッターの後ろからの攻撃が増えるので、セッターが相手ミドルの対応を見て攻撃を選択しづらいという側面もあるかもしれない。セッターの前で攻撃を展開できれば、相手ミドルがコミットしてくるようであれば違うところに上げればいいし、ミドルを捨てているようならミドルに上げれば良い。その判断ができないというのはある。
セッターの前で展開するにしても、やはり右利きミドルが大多数の中でセッターが合わせづらいというのはあるかもしれない。
特にヨーロッパの男子では右利きのミドルにしても、セッターの後ろからミドルが攻撃を仕掛けることがほとんどない。ポーランドにいる左利きのミドルの映像を見ても、ほとんどセッターの前で攻撃を展開している。
http://www.youtube.com/watch?v=Jct0CdacAhU
ただ今の国際レベルのバレーにマッチしているのは、むしろ左利きのミドルではないかと思うときがある。もちろんミドルの仕事はクイックを打つことだけではないので、どうしても左利きという話ではなくて、現行のオフェンスシステムに左利きのミドルはよりフィットするのではないかということ。
今トップレベルのブロックフォーメーションは基本としてレフトブロッカーが大きく内側に位置を取り、相手ライト側の攻撃とセッターに近いクイックをケアする形が主流といえる。相手ライト側の攻撃はセッターからの距離が近いので、両方ケアすることができる点や、レフトブロッカーは右利きがほとんどであるから、内側から外側の移動は順足になるので移動がスムーズに素早くできる点などからこのような形になっているのだろう。ベースとしてはこの布陣を敷くことで、数的不利は最低限に抑えられる。イメージ的には攻撃4対ブロック3.4くらい。あくまでイメージ的に。
これに左利きのミドルを入れるとどうなるか。
別に左利きに限った話ではないのだが、セッターの後ろからミドルが攻撃することで、レフト、ミドルブロッカーはそもそものイニシャルポジションを1mほど左にシフトしなければならなくなるし、レフトブロッカーは目の前に入ってくるミドルに思わずくぎ付けになる。ミドルもクイックとオポジットの攻撃を判別しづらくなる。いわば攻撃に対する網を分断とまではいかないものの緩めることができる。
そして、やはりセッターの後ろであるなら、左利きミドルのほうがクイックを使えるエリアはより広いと思う。
レゼンデが目指したバレーボールの姿 第1回 | ?バレーボールワールド|全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン
上記記事で述べられているように、ブラジル、たまにアルゼンチンがやっているのは見たことがあるわけだが、どうもまた最近はやっていない。上記記事中の理由もあるだろうし、やはりセッターのイニシャルポジション的にパス如何でセッターの後ろ側のスペースが狭くなりやすいということもあるし、まだ何か理由があるだろう。
だが、やはり今後10年の男子バレーはセッターのすぐ後ろのスペースをどう使っていけるかがトレンドになると勝手に思っている。レフトブロッカーにいかに負荷をかけていけるかが、サイドアウトをより簡単にするように思う。
また、左利きのミドルがセッター前面の近い位置からクイックを打つ場合、右利きのAクイックより、少し伸ばしたセットになる。
これによって相手のレフトブロッカーからの距離ができるので、ヘルプブロックによるワンタッチがとられにくくなるという利点もあるだろう。もちろん相手は基本的に左利きのミドルを見慣れていないので、その利点も大きいといえる。
近年では、攻撃の態勢が悪い時には相手のライトサイドに上手く返すことによって、セッターやオポジットをつぶしてブロックを整え、再攻撃するという戦術もスタンダード化してきている。オポジットをつぶされて、レフト3枚という局面も多いのだが、その時にミドルがライト側に開いて攻撃できれば、相手のブロックも整わない(P6の選手がライトサイドのバックアタックを打つというチームもあるのだが、枚数は多い方が良い)。それには左利きのミドルのほうがフィットするように思う。まぁ、東海池田なんかは今、結構これに近いんだけど。
単にトップレベルで活躍する左利きのミドルがもっと見たいだけなんだけどね。早い話、東海池田、日体鎌田、中大井澤、法政田中(あの方のご子息と聞いたが本当かね)あたり頑張れってことですわ。関東しか知らなくてごめん。
長々といろんなことを言ってきたが、利き手なんぞ所詮利き手にすぎない。もちろん重要なことなのだが、結局のところ右利きだからいい、左利きだから良いという話ではなく、プレーヤーにとってより大事なのはどれだけバレーボールに向き合えているかだったり、ボールに対する執着心であったり、勝負強さだったり、当然技術だったりするのだ。あくまで一考察として聞いていただければ幸いである。