Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

アル・ラッヤンに見る「個」のチームの是非




photo by FIVB
先日のクラブ世界選手権は、欧州王者であるロシアのベルゴロドの優勝で幕を閉じた。


このクラブ世界選手権で大きな話題となったのが、準優勝したカタールのアル・ラッヤンというチーム。
まあいつもの事なのだが、今回はこの大会の為に、ブルガリアのカジースキ、ブラジルのラファエル、アラン、キューバのシモン、サンチェスと世界のトップクラスの選手を期間限定で補強した。言ってみれば、パートタイムプレーヤーである。
おそらく彼らはこの大会の参加のみで数百万(予想)のサラリーを受け取ったことだろう。
一説にはカジースキ、シモンは一千万だったという噂もある。
カタールの王族が世界一になるために、お金でドリームチームを作り上げたのだ。



Sada/Cruzeiro (BRA) x (CAT) Al-Rayyan - SF ...
いつもは補強してもせいぜいベスト8どまりなのでそこまで波紋を広げたりはしないのだが、今年は補強の度合いがあまりに半端なく、しかも準優勝したもんだから、さあ大変。
サダ・クルゼイロが準決勝で負けたブラジルのメディアなどは、「試合の前に一回だけ練習したようなチームがクラブの世界一の決勝に出ていいのか」「アル・(ゼブ)ラッヤンだ」(シマウマのようにバラバラだと揶揄)と批判を展開。
Deu Al-Zebrayyan em BH! | Saque - um blog de vôlei
Está no LANCE! de hoje especial sobre o Al-Rayyan | Saque - um blog de vôlei


たしかに、1年間しっかりリーグを戦ってきたブラジル1位のチームが寄せ集めのチームに負けるというのも見ていてつらいものだ。
しかしながら、クルゼイロは今年に関しては21点制に慣れすぎている部分があっただろうし、仕方ない面もある。
シモンなんかこの試合アタック10-10、ブロック3本、サーブ3本なんて圧倒的なんだもん。


個が大事か、チームワークが大事かと聞かれたら、僕は迷わず「個」と答える。
特にバレーボールは戦術の差がどんどんなくなってきているし、サーブの重要性が高まっているのでなおさら。
今年の中大みたらわかるように結局、差が生むのは「個」なんだよね。


とはいえ、そんなアル・ラッヤンも決勝ではあっさり敗れてしまった。
決勝は、アル・ラッヤンが少し崩れたらすぐずるずるといってしまうという、いかにも漫画的展開であった。
つまりお互いの信頼関係が薄いから、ものすごく精神的にもろいチームなんだよね。精神的に引っ張る人間もいない。そもそもお互いをあまり知らない。


やっぱり本当のクラブチームは長い時間をかけて、こういう精神的な強さを磨くのだ。
そういう意味では決勝はベルゴロドが勝ってよかったと思う。


ただやっぱり、こういう茶番は見たいようで見たくはないので、FIVBがきっちりと規制をして「本当の」クラブ世界一を決める大会を見たいものである。
まぁ、それとは別に「ヨーロッパ選抜」対「北中南米選抜」みたいな世界選抜戦も見たいけど。


とまぁ、この辺の話はすべてぶっとばして、黒鷲なんかで「大学選抜」とか出してみない?