Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

サイドのスイングブロックに関する一考察




photo by FIVB
ブロックを跳び方で大別するならば、その場跳びの「スタンディングブロック」と、助走をとり腕を振って跳ぶ「スイングブロック」に分類できる。


当然のことながら、スイングブロックはスタンディングより高いジャンプができるため、より長い時間ブロック面をネット上に出すことができるという利点がある。ごく一部のセッターなんかに、スタンディングのほうが高さが出るっていう変な選手もいるにはいるんだけど。


しかしながら、スイングブロックは助走をとって跳ぶために、ブロックが横に流れやすくなってしまったり、ブロック面が回転しやすくなってしまうというデメリットもある。面が流れていると、よほどいいところにいいタイミングで当たらない限りはブロックアウトになってしまう。しかし、一流のサイドブロッカーはスイングブロックをしても、この横の流れ、面の回転を最小限に留めることができる。


中型でもブロックのいいサイド、パピやジバといった選手はこのスイングブロックが非常にうまかった。どれだけスピードのついた助走をしても踏ん張りを効かせて最小限に体の流れを食い止めることができている。スピードのついた助走ができるということは守備範囲を広くできるということであり、ぎりぎりまでセンターエリアでステイできるということでもある。

この動画のジバの献身的な動きとダンテのサボりっぷりをぜひ比べていただきたい。




ここで常日頃、私がブロガーとしての師匠と畏れ多くも勝手に思っているマーク・レベデフのブログのある記事を参照してみる。

Everything Is Timing – Mythbusters Edition | At Home On The Court


要約すると、スパイカーがブロッカーの手を見てコースを決めるというのは迷信で、スパイカーは早い段階に打つコースを決めている。それはトスによって決まる。また、ブロッカーのスタート位置、動きで決まる。もしくは単に好きなコースに打つだけ。ある程度スパイクの方向性が決まった後、ブロッカーの手を見て最終的な微調整を行っている。というものだ。


良いスパイカーがコースを決める要因というのは、空中のブロックの手ではなく、地面での位置取りだと私も思う。
上手いスパイカーというのは、意識的にあるいは無意識的にブロックの位置取りを見て、コースを決めているのだろう。正確にはサイドのブロックが「跳びそうな位置」を基準にして、ということになるが。
もちろんそもそも一方向にしか打てない選手もいるだろうし上がる前にコースを決める選手もいるし、トスによって制限されることもあるのだが。


何が言いたいかってーと、スイングブロックには跳ぶ位置が、ぎりぎりまでスパイカーにわからないという利点もあるということだ。
当たり前っていえば当たり前なんだけど、たとえば一枚ブロックになった時、止まるケースって大抵スイングブロックしている。
これは高さうんぬんよりは、スパイカーを迷わせてるっていう要因のほうが大きいように思う。
やはりスタンディングでは、かなり早い段階から位置を知られてしまい、簡単に抜かれてしまうことが多い。


ビーチバレーでよく使われる戦術に、最後の瞬間に跳ぶ位置を変えるというものがある。

ビーチならではというわけではなく、昔はソ連あたりがインドアでも1枚の場合はこんなブロックをよくしていたようである。
ヌガペットなんかもたまにこんなことする。
さっきのジバとダンテの動画でも、ダンテがサボっているといったけど、逆に早めに打たせたくないコースに立っちゃうことで相手のスパイクコースを限定できるっていう利点もあるにはあるんだよね。


てな話をはじめちゃうと、キリのない話になってしまう。
スキルの話をしてしまうとどうにもまとまらない方向に行ってしまう。
ま、議論のタネにでもなれば。