きょうのセッターその8 ロイ・ボール
あくまで推測であるが、セッターとして世界で一番年収が高かった選手というのはたぶんカザン時代のロイ・ボールであったと思う。
90年代のイタリアの相場をよく知らないので断言はできないが、2000年代以降という注釈付きであれば、おそらくボールで間違いないだろう。
そのプロキャリアのはじめが東レだったというのは、今の若い世代は知らないのではないだろうか。
1972年アメリカ生まれ。高校までバスケットボールもしており、伝説的な大学のバスケットボールコーチ、ボビーナイトに誘われたというエピソードも残っている。バスケをしていたってのはクリステンソンも同様であるが、そもそもアメリカで背が大きいやつだったら、大体バスケットボールも並行してやっているのかもしれない。
ただ、だからというべきかボールとクリステンソンのセットというのは、バスケットボールのジャンプショットを思わせるようなセットだ。
少しボールを投げ気味というか、手首を使う割合が多いというか。なのであまり体勢を問わず様々な場所にセットすることができた。ボールへのアプローチもうまくて、特にネットから離れた場所からのミドルへのセットは天下一品であったように思う(名前がボールだといろいろ大変だ)。
また、チームのトレンドをつかんだ戦略的なトス回しというのだろうか、ゲームの組み立て方に秀でていた。
ミドルの出し入れが優秀で、「お、まだ使うか」という時もあれば、「ここでミドルかー」という時もあって、的を絞らせないクレバーさがあった。
そのブロック、サーブも一級品で、まさに完成された現代的なセッターと言えよう。