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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

きょうのセッターその31 タイラー・サンダース



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今、東京五輪が延期になって、一番感謝しているバレーボール選手は彼かもしれない。
カナダ生まれの現在29歳。もし子供の時に負った怪我の影響からくる背中の痛みがなければ、今ごろイタリアかポーランドかロシアあたりのトップクラブにいてもおかしくはない。
2018年にハルクバンクと契約を結ぶもメディカルチェックにひっかかったのか、直後に契約解除。それから丸々1年あけて、2019年ポーランドベンジンと契約するもシーズン序盤数試合で離脱。時間とともに治るという種の怪我ではないらしく、今年1月の五輪北中米予選には復帰するも1試合プレーするのがやっとという状態で、サーブもスタンディングサーブで、おそらく痛み止めをかなり飲んでいたのではないだろうか。
おそらく20/21年シーズンも、彼と契約するクラブはないと思われる。


名前が似ているアメリカのテイラー・サンダーもシーズンを棒に振る怪我を負ってしまったので、なにか因縁めいたものを感じている。タイラーと表記しているが、ミドルネームのジェームスと合わせた「TJ・サンダース」の方が浸透しているだろうと思う。そうなると逆に日本のチームと紛らわしくなってしょうがないのだが。


ハンドリングがいいわけではないが、体の正中線でボールをしっかり射抜く。精度が抜群というわけでなく、判断力に優れている。予選リーグとはいえ銀メダルのイタリアと銅メダルのアメリカを破ったリオ五輪なんかは圧巻で、イタリアはちょっとメンバー落としてたけど、特にアメリカ戦はいい試合で、いいスパイカーは揃ってるけど、どれも100%信用できるわけではないというカナダチームを上手にコントロールして3-0の勝利をかっさらっていった。
どちらかといえばザ・正攻法というセッターではあるが、リスクマネジメントが上手で局面局面で危険なスパイカーを選択してしまう確率がすごく低い。


判断力の良さはこういうプレーなんかにも現れていて、こういうプレーする選手は大好き。


基本的に背中の痛みを取り除いていくには、背中の特定の小さな筋肉をつけたり、股関節の可動域を大きくする*1しか方法はないらしく、それには長い時間がかかる。もしかしたら以前のようなプレーはできず、ごまかしごまかしやっていくしかないのかもしれない。
それでも来年、東京で100%の状態の彼が見られることを願っている。