Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

前代未聞!?



仕事の都合で良いタイミングでギリシャに来たので、まだ終わっていないギリシャリーグのファイナル第4戦を見に行くことにした。
ギリシャリーグのファイナルは3戦先勝方式で、大方の予想通り、パナシナイコスオリンピアコスが進出した。どちらもサッカーチームやバスケットボールチームも持つ総合クラブでファンがとても熱い。現在オリンピアコスが2勝、パナシナイコスが1勝を上げている。
オリンピアコスには世界のエース、ミリュコビッチが君臨している。また一昨年パナソニックにいたフェリッペも所属していたが、2ヶ月ほど前にクビを切られてしまった。一方のパナシナイコスには、先日セッター6選で紹介したザグムニ、フランスのエース、サミカや今もっともホットなプレイヤー、アガメズ(もうこいつが半端ないんだ)がいる。

今回はオリンピアコスのホームで、約3,000人程度収容のバレー専用体育館。アテネの中心からすこし外れたところにあった。
入る前から体育館の外にはファンがあふれ、すでに盛り上がっていて、警官の数も半端ではなかった。僕はこれがいつもの光景なんだなと思ったものだが、どうやら今回は少し様子が違ったようだ。

会場に入るとすでにオリンピアコスファンによるチャントが繰り広げられていて、熱気がスゴイ。会場中がプレミアリーグFC東京の応援団より殺気だった集団だと思っていただければ想像がつくだろうか?体育館の中でタバコなんて普通のようですでに体育館が少し煙い。連れてきてくれた現地の人によると、どうやらこのファイナルだけかわからないが、この体育館にアウェイパナシナイコスのファンは来ないらしい。来ないというか、来れない?ホームはホームのファンが応援するものらしい。アウェイの人間なんて来たら暴動になってたまらないと。なので、一面オリンピアコスのカラーである一面赤。

はじめてバレーボールの会場に来て「怖い」と思った。ポーランドのファンも確かに数が多かったが、もっと親密だった。今回はそう、競輪場に来ているようなそんな雰囲気。

そんな中でアップも公式練習も終え、試合開始時刻である20時をまわり、選手がロッカーに引っ込んだのだが、なかなか出てこない。
それでもチャントは続く。体育館が揺れるほど続く。僕はその頃にはなにか起こるんじゃないかと冷や汗をかいていた。
40分たってもいっこうに選手が出てこない。その頃に体育館中がざわめきだし、帰るものがちらほら出始めた。なんと、試合が中止になってしまったのだ。
セキュリティーの問題から審判ひいてはリーグ側が試合をストップしたというのがその理由。先日の試合でもファンからモノが会場に投げ込まれ、ジャーナリストが一人ケガをしているという。いつもであれば入場時にチェックをし、投げ込めるモノの制限をするらしいのだが、今日はフェンスが壊され会場のコントロールが効かない状態だったらしい。選手も何人かはそんな雰囲気を感じ、中止を望んだとのこと。

いやはやアップまで終わった試合が中止なんて前代未聞。でも確かに今日の会場の雰囲気を考えれば妥当な決断だったのかも知れない。
でもテレビも入っていたのに中止できる勇気は賞賛に値するだろう。金払って入ったこっちからしてみればたまったものではないが。でもこんな経験なかなかできるものじゃない。良い語りぐさが出来ました。


ちなみにオリンピアコスのユニフォームにはFujitsuの文字が。