トレントのオープナーシステム
イタリアカップは準々決勝を終えた。木曜日に残されたカードはトレントーミラノ。
サーブですべてを粉砕したペルージャ。低調な内容ながらしのぎ切ったルーベ、ホルトを欠きながらもディフェンスが機能しているモデナに続くのは、どちらか。
今日はトレントがこの試合で行っていた変則的な交代システムについて。
ミラノのほうがよっぽど変則なんだけど、それはまた別の話。
コヴァチェビッチはオリンピック予選以降、体調を崩したか、軽いけがをしたか知らないがリーグ2試合を欠場。
この試合には先発したわけだが、スタッツを見ると先発にもかかわらず、残した数字は2本サーブとレセプション2本のみ。普通であればあり得ない。
ラッセルも欠場したこの試合、コヴァチェビッチも本調子ではない。おそらく、キューバ人のソサを先発させたかったのだろうが、ソサは攻撃力はすごいが、レセプションが壊滅的。
ということで、彼のレセプション回数を最小化するために、まずコヴァチェビッチをサーブのポジションから先発させ、最初の3ローテを凌ぎ、前衛に来たところでソサと交代。
メジャーリーグなどで、本来リリーフ起用される投手が先発登板し、1,2回の短いイニングを投げたのち本来の先発投手をロングリリーフとして継投する起用法を「オープナー」と呼ぶので、これを採用した。
ソサが、前衛3ローテを終え、サーブを打った後のローテーションだけ後衛でサーブレシーブをする。
そして次のサーバー、ミドルのカンデラロにまだ若いサイドのミケレット(西田より若い)を投入。
次のサーブレシーブでは、ソサにリベロを入れる。
ソサが再び後衛に来たら、コヴァチェビッチを再度投入すればよいので、試合展開にはよるが平均2周半~3周するローテーションのうち、ソサは後衛ではわずか1ローテのみレセプションすれば良い。
さらに3人の真ん中でレシーブすることも必要がない。
バレーボールでは一度変わった選手も再び投入できるため、オープナーとクローザーを兼ねることができる。
ただこの試合では、リズムがつかめなかったのか、ソサが肝心のスパイクもトスが上がってこないし、サーブも散々だったので、うまく機能したとは言えず、結局3セット目からはミケレットが先発となってしまった。
ミドルに変えて守備のうまい選手を入れて、レセプションに難のある選手にリベロを入れるというのは、往年の手塚システムなどによく見られたが、
このオープナーシステムと合わせる徹底ぶりというのはなかなか見ない*1。クレブノをミドルに入れるミラノから着想を得たのかもしれないが、さすが魔術師ロレンツェッティ。
トレントが3-0で勝利。
*1:オープナーシステム自体は順大あたりが多用してたけど