Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

「せーの」とチームワーク



我々の間には「チームプレイ」などという都合のいい言い訳は存在せん。あるとすれば、スタンドプレーから生じる「チームワーク」だけだ。


荒巻大輔 攻殻機動隊 Stand Alone Complex 第5話より


チームワークの良いチームと聞いてどんなチームを思い浮かべるだろうか。仲の良いチーム、まとまりのあるチーム、コンビミスの少ないチームetc・・・


チームワークという言葉は特に日本では「(味方に)合わせる」という意味で使われることが多いように思う。
もちろん特にボールを保持できないバレーボールでは、味方のプレーに「合わせる」ことは非常に重要なことであるが、時に、他人のプレーに合わせようとすることで、その選手やチームのプレーが規定されてしまうことも少なくない。全力でないアタッカーの助走や、ジャンプなどが最たる例だろうか。
なにも、ぎりぎりなプレーが良いと言っているわけではない。あしからず。


「個」が存在しないチームは全く怖くない。
わくわくするチームやプレー。それはぱっと見、ミスがなく、かみ合っているようなことではなく、個々のベストプレーが他の選手のベストプレーを引き出すチームやプレーだと思う。そう、2006年までのブラジルのような。まぁ、必ずしもいつもそんなチームが勝つとは限らないのだが。
「個」が大事とか「チーム」が大事という話ではない。それはもちろんどちらも大事だ。車の両輪のようにどちらが欠けても、車は動かない。


昔、こういうことをおっしゃる先生がいた。
「本来、グループブロックの時、せーの、の掛け声でタイミングを合わせるのは本来ならばありえないと思う。各人が正しいと思ったタイミングで跳べば、自然とブロックは揃うはずなのだから。」
若干、理想論のようにも聞こえるが、全くその通りだと思った。


「せーの」は相手ではなく、自分のチームに向けられている。誰かブロックが上手い選手がいて、彼が全員のプレーの引っ張るために「せーの」のかけ声をかけるならまだわかる。しかし、「せーの」は形骸化し、複数人がブロックの間を開けないためにかけているような声だ。たとえるなら、相手ピッチャーをイメージして素振りするならまだしも、複数人でスイングのタイミングを合わせることを目的に素振りをしているようなものだと思う。


決して少なくはないチームが、相手がいない状態のグループブロック練習をしているように思う。動きの確認という意味で行っているならいいのだが、それは本当の意味でブロック練習にはならない。ブロックで重要なのは、味方と合わせることでなく、相手に合わせることだ。相手のアタッカーの動きを見る、トスの長短、高低を見極める、そういった外的な要因を見極めることがアタッカーからしたら、嫌なブロックにつながる。


結局のところ、個人の「判断」と「決断」。これがしっかりしているチームが「チームワーク」の良いチームであり、相手からしたら、怖いチームになるのだと思う。