問題は「誤審」ではない
今年のプレミアリーグではなにかと審判周りの話題に事欠かない。
やれ誤審でゲームの流れが変わった。やれ某選手の審判に対する態度に問題がある。やれラインズマンが下手すぎる。
問題は「誤審」ではないように思う。
審判はいつも正しいのだから、「誤審」は存在しない、とかそういう話ではないので、あしからず。
起こる問題の多くは審判が「見えていない」ことに端を発している。誤っているのではなく、単に感知できていないのだ。勘違いとかそういう話でなく、その場の雰囲気で笛を吹いてしまう。
もちろん見えていないのも広義で言えば誤審であるが、年に数回しかトップレベルの旗を振らないラインズマンの目が速いボールに慣れていなくて当然であるし、戦術や選手能力の発展は審判が見なければならないポイントをあまりに多くしている。10年前と比べてサーブの平均速度は段違いであろうし、選手が何人も同時に助走に入ってくることで目に入らないこともあるだろう。
勿論、相当高いレベルの審判の方であれば、問題なくジャッジングできるのだろうが、そういう方ばかりではない。
つまりは、もう現行の審判システムに問題が出てきているのだろうと思う。
昔であれば、リプレイなんかできないし、審判が絶対!でよかったのであるが、もう時代が違うのである。
バレーボールにおいて、ダブルコンタクトであるとか、ホールディングであるとかの部分に関しては、大いに審判の主観で結構であるし、その点に対してそこまでの抗議(質問ね。)をする選手はいないはずだ。
しかし、ボールが入った、入らない。タッチした、していないは審判の解釈の問題もくそもない厳然とした1つの客観的事実なのだから、せめてインスタントリプレイを第3の審判が即時判定する、みたいなかたちで、ビデオ判定を段階的にでも導入するべきであると思う。
すでにイタリアやポーランドではラインズマンを置かずに、怪しいライン判定はビデオチェックというシステムを始めているが、それができるのもこれらのプロリーグがホーム&アウェー制を用いているからに他ならない。各チームのホームコートにビデオを置けばいいのだから。10何台というカメラを使っているらしいので、日本のあちこちで行うVリーグのシステムでは必要な機材の輸送や設置などの問題が出てきてしまうだろう(検討もしていないだろけど)。
ただそこまでおおごとにせずとも、300fps位で記録できる4Kカメラをコートの両後ろと、ネットにでも付ければ、問題になっていることの70%は解決するんじゃないかなぁとは思う。選手だって微妙なところをそこまでつついているわけではなく、明らかに「見えていない」ジャッジに抗議(質問ね)してるだけなのである。
前にもいつか書いたが、現行のビデオ判定は明らかにゲームの流れを阻害してしまうという問題がある。
見ている方も中断ばかりでは面白くないし、タイムアウトがわりにいちゃもん付けるなんていう悪手も見られる。
要は手段はどうでもいいんだけど、いろいろ情報技術が発達しているのだからゲームの流れを阻害せずに正確なジャッジングができるシステム構築をするべき時代になっていると思う。
Jリーグなんかは、いろいろそういうのには積極的なように思う。
Jリーグでも4月から審判無線システムを導入へ | ゲキサカ-講談社
審判がキャパオーバーの状態なのに、審判が下手だ、選手のマナーが悪い、とどちらかの問題にしてしまうのにはやはり限界がある。
抗議に関しては、選手はもちろん社会人として最低限のマナーは持つべきあるが、彼らも生活がかかっているし、やってる選手が一番わかっているに決まっているのである。
ただシステムがそんなにすぐに変わる話でもない。
審判の方が、少ない日当でやっておられるとか、本業があるなかで、とか批判をできる立場ではないのは十分わかっている。
試合を面白くしてくださるようにつまらない反則を見逃しているのも、十分わかっている。
ただせめて情報技術がここまで進んでいる中で小学生チームだってビデオを撮り、フィードバックをして技術の向上をはかっているのだから、審判方もせめてビデオを撮って、後で反省会をするくらいの姿勢があってもいいのではないか。それすらしていないというのはなにか釈然としないものはある。
それをしてしまったら、やはり判定が明らかになってしまうから禁忌、的なことがあるのだろうか。
バレーボールってほんと審判するの難しいスポーツだと思うけどね。