デカくて、高くて、速くて、そして強かった
photo by FIVB
今週、グスタボ・エンドレスが引退を発表した。彼もまた今年、不惑を迎える。
ブラジルスーパーリーガの準々決勝で敗れたグスタボは「おそらく私の最後の試合だった」と語った。
今後は所属するカノアスでなんらかの形でチームにかかわるだろうと述べている。
twitter.comGustavo explica aposentadoria do vôlei e confirma: "Foi meu último jogo" http://t.co/iJXcnpAmUc
— Gustavo Endres (@Gustavollei) 2015年3月18日
言い過ぎかもしれないけれど、もしグスタボがいなかったら、ミドルは身長第一、デカければそれでいいという考えがもう少し闊歩していてもおかしくはない。
2000年代初頭、リベロ制度が導入され、ほとんどのミドルがサーブレシーブやディフェンスを免除され、ロシアの217㎝カザコフあたりが頭角を現した。
そんな中出てきたのが、グスタボである。そのグスタボでも203㎝あるのだが、サイドへのブロックの速さ、パワフルなアタック、すべてをこなせるテクニック、存在感。
すべてが圧倒的だった。グスタボを初めて見たときは、こんなミドルがいるのか、と目からウロコを落としたものだった。
今のトップクラスのミドル達はほとんどグスタボを下敷きにしているといってもよい。グスタボを知らないミドルははっきり言って、モグリと言ってもいいだろう。
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そんなグスタボのすごさを端的に表すのが上の動画。
最初のラリーでサーブを打つのがグスタボである。
その辺のちょっとなよっとしたミドルとは一線を画すジャンプサーブ、ワンタッチボールやフォローボールに対する反応、そしてサイドセットの技術。
ミドルブロッカーの概念を変えた存在といっても過言ではない。
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そしてブロックの動画。
その迫力や移動のスピードに目が行くが、注目すべきはその位置取りの細やかさ、始動姿勢への気の使いようだ。
ボールの返球位置や攻撃者に応じて、細やかに足を動かし、スタートポジションを決定している。
そしてフェイズに応じて、機械のように姿勢を移行させ、動作に移る。
グスタボのブロックの骨頂はこの準備にこそある。
ナウベルチがコートを去った後のブラジル代表は、リカルドやジバがキャプテンを務めることが多かったのであるが、それはおそらくは狂気じみた彼らのカリスマ性に任せたものであって、コートで真に人間的な強さを発揮し、チームを鼓舞し続けていたのは紛れもなくグスタボであった。
近年でこそ、ムセルスキー、シモンといった規格外のミドルが取り沙汰されることはあるが、グスタボ以上に「完成された」ミドルブロッカーを私はいまだ知らない。