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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

臥竜鳳雛・高橋和人の出立



イランで開催中の第2回アジアカップ。日本は目下3連敗中。
日本チームが、2軍ともいえるメンバーなのは承知の上だが、韓国だって1.5軍だったし、オーストラリアだって、主力のメンバーはすぐに引っ込めた。パルシン氏が指揮をとるカザフスタンがPoolBの中ではもっともいい状態で来ているかもしれない。
確かに佐幸監督はユニバやジュニアである程度の成果を収めてはいるが、シニアの監督は初経験(のはず)。ここまでの結果を見れば少々荷が重かったのでは?といわざるを得ない。もちろん佐幸監督が優秀な監督であることに疑いの余地はないが、大人の選手を扱うというのは大学の監督とはまた違った側面を持つことも確かだ。
予選ではトーナメントの組み合わせを決めるだけなので、いくら負けてもいいっちゃいいんだけど、厳しいトーナメントになることは間違いない。おそらく一回戦で前回優勝、しかもホームのイランとの対戦となろう。

さて、本題に。臥竜鳳雛という言葉がある。

意 味: 優れた人物が好機をつかめず、世間に隠れていることのたとえ。
解 説: 「臥竜」は、横になって眠っている竜。「鳳雛」は鳳凰の雛。 「がりゅうほうすう」とも読む。【故事】中国の戦国時代、諸葛亮と〓統は、それぞれ優れた才能を持ちながら、仕官することなく民間にあった。後、彼らが「臥竜」「鳳雛」にたとえられているのを耳にした劉備が、二人を召し抱えたので、彼らは名参謀として活躍したという故事による。
臥竜鳳雛(がりょうほうすう):四字熟語データバンク

このアジアカップ、ここまですべてのセットに出場し、チームの得点源として古田選手に続くスコアラーとなっている選手がいる。豊田合成高橋和人選手。実は彼、意外に思えるがすべての年代通じてこれが初の国際大会なのだ。

日本代表までなる選手ともなれば、たいていはユースやジュニア、ユニバといった各年代の代表に選ばれているケースがほとんどだ。
実際にこのアジアカップのメンバーでもこれが各年代通してはじめての国際大会という選手は彼と、伊東選手のふたりだけである。その伊東選手も若干の監督補正*1もあるし、先日のアジアクラブ選手権の出場があるので、正確に言えば2回目*2ということになる。

かといって彼がぽっとでの選手というわけではない。高橋みゆきの弟ということに加え、山形中央高校時代も全国である程度の成績は収めているし、東海大学時代も顕著な成績を残している。

彼は非常に完成されたバレーボールプレイヤーだ。ブロックこそ平均点だが、ブロックアウトの技術は日本で1,2位を争うし、以前書いたようにサーブの技術も一級品。同タイプ、同学年の米山選手ほどではないが、レセプションにも安定感がある。
何回も繰り返すことになるが、黒鷲旗で準優勝した2006年度の東海大学は金子選手、富松選手、清水選手と何人かは現在の全日本でも中心となる選手を擁していたのだが、チームの肝はこの高橋和人選手だった。本当に押さえるべきは清水選手のバックアタックでも、富松選手のクイックでも、王選手のツーでもなく、高橋選手のブロックアウトとサーブレシーブだったと僕は思う。
そんな彼が齢26ではじめての国際大会ということになったのは、ひとえに彼が非常に層の厚い1984年に生まれてしまったからだ。なんといっても彼は東西対抗にすら出られなかったのだから。おそらく彼があと2年早く、2年遅く生まれていたら、ユース、ジュニア、ユニバとすべての代表に入っていたのではないだろうか。

いくら背が低くても、いくら選手層の厚い世代に生まれても優れたプレーヤーは世に出てくる。
国際大会の経験では米山選手に大きく遅れをとっていたが、ようやく世界への挑戦権を得た。

*1:このチームの監督を務める佐幸氏の東亜大出身

*2:まぁ、これは苦しい