高校生、どこまで高みを目指せるか
歴代最強の高校は?というのは、そんじょそこらの居酒屋で繰り広げられる話題なんだけど、大体みんな自分の時代を美化しちゃって結局のところ結論が出ない問題でもある。
第一、その時点での強さなのか、メンバーのその後の経歴的な豪華さなのか、というそもそもどちらを採るかでも大きく結果は変わってくるだろうし。
古川、武笠+長谷部の藤商であるとか、菅野、大竹、吉田の法政第二だとか、成田、南、清水の東海第四だとか、西村、小糸、畑の花園だとか、いーや、渡貫の釜利谷だとか、釜利谷なら越谷、浜口、勝俣の方だろとか、諸隈の鎮西だろとか、柴田、飯塚の深谷だとか、いや石島、金丸、小川+金子、志賀の方だろとか、いやいや八子、瀬戸口、渡辺でしょとか、だったら富松、三上の東北だろとか、総合力なら越川1年の岡谷だろとか、まぁ、話は尽きないわけです。
そもそも世代間のレベル差というのはどうしたってあるし、直接対戦できない以上、答えを出すのは不可能な問題。
まぁ、何が言いたいのかといえば、唐突ではあるけれど、今の星城高校はこれらのチームと当然肩を並べ、主観でいえば歴代トップ3には入ってくる強さを持っているチームだということ。
そして、彼らが星城というチームで上のカテゴリーのチームと対戦できるのはこの天皇杯が最後だということ。
まずは当然、エース石川の能力。高校生時点、ということで言えば、諸隈、越川レベルと間違いなく比肩するし、それ以上かもしれない。フィジカルでは歴代レジェンドに比べ、もう一歩というところはあるのかもしれない。高校生の時点でもっと高い打点の選手はいたし、もっと強いスパイクを打つ選手を打つ選手もいた。しかし、いちバレーボール選手として見たとき、やはり完成度は群を抜いている。ま、たぶんサーブに関しては、歴代みても彼か、越川かというレベルだろう。
リベロ川口も高校生離れしている。豊田合成にいくというのもうなずける。実際のところ、このチームの肝はこの選手であろう。ディフェンスを率い、そのセットもキレとクリエイティビティがある。このチームは彼が引っ張っている部分が非常に多いように感じる。
もちろん武智のサーブレシーブと攻撃のアイデアがなければここまでのチームになっていないし、山崎のサーブやスパイクがなければ厳しいローテーションもあるだろうし、神谷のブロックあってのこのチームだしディフェンスの強さでもある。もちろんセッター中根が並のレベルであれば、これだけのスパイカーを使いこなせているわけがない。
何よりも、彼らが前述したレジェンドと比べて、ずば抜けていると思うのが、常に相手の嫌がることを選択できるその判断力にある。
もちろん昔も今も、相手の嫌がることをできる高校生はたくさんいるわけだが、その多くはこういう場合はこうしたら相手が嫌、といういわばメソッドとして覚え込んでいるだけなことがほとんどなのだ。しかしながら、彼らは自分(たち)で状況を判断し、その場その場で答えを選択しているように思う。
そりゃそんなの高校生であんなことできたら、強いに決まってますわ。
大塚もとてもこういうところは似ていて、すごく自分たちの頭で考えたバレーができるんだけど、星城の彼らと同じ年に生まれてしまったことを悔やむべきところであろう。
星城のタイムアウト。監督が指示を出すことはよっぽどのことがなければない。もちろん劣勢だろうとだ。
高校生というのはどうしても結果を求めるチームほど、指導者の思考、型、してほしいこと、をいかに覚えさせるかというバレーボールになりがちであるが、彼らは自分(たち)で考え、常に前に進んでいる。そんな彼らの竹内監督は素晴らしい指導者であると思う。
さぁ、プレミア、ジェイテクト戦。
勝つのは難しいかもしれないが、十分楽しめる、ハラハラした試合を見せてくれるに違いない。