photo by FIVB
今日はフランスのリベロ、グレベンニコフについて。
名前からわかるように、血統的にはロシア人となる。
旧ソ連の代表選手でもあった父ボリスがフランスでプレーしていたときに生まれたジェニア・グレベンニコフ。父が監督でもあるレンヌでキャリアをスタートさせ、フリードリヒスハーフェンをステップに、今となっては屈指のビッグチーム、チヴィタノーヴァの正リベロである。
2014年の世界選手権、昨年のヨーロッパ選手権でもベストリベロに輝き、今最もノリに乗っているリベロといっても過言ではない。
カタカナ表記がグレベンニコフなのか、グレベニコフなのかというところで頭が痛い。
虫の殻の反重力効果を示唆したGrebennikov教授はグレベニコフ表記が多いし、カスペルスキーCTOだったGrebennnikov氏はグレベンニコフ表記が多い。ジャンネッリ(ジャネッリ)もそうなんだけど、発音的には「ン」の部分が聞こえるか、聞こえないかのくらいの感じだと思うので、どちらでも正しいのだろうが、カタカナ表記というのはなかなか難しい。
コミュ力がハンパないという話はどこかでしたかもしれないが、誰彼構わず声をかけてチームを盛り立てる。
ナチュラルにとてつもなくうまいというタイプではない。位置取りなんかは目を見張るものがはあるが、勘が鋭いというよりは非常にロジカルな印象を持たせる。
天才的というよりは努力の積み重ねでうまくなったようなタイプに感じる。
グレベンニコフのレセプションの特徴はそのプラットフォームの自由度にある。
ここでいうプラットフォームとはアンダーハンドレシーブでボールが当たる部分、肘から手首の部分を指す。基本的には腕を伸ばし、固いプラットフォームを作ることが重要とされているが、グレベンニコフは腕を曲げることもいとわず、プラットフォームの角度にのみ注力しているように思える。
世界選手権のテクニカルビデオ。
http://www.fivb.org/TechnicalEvaluation/Competitions/wch2014men/Complex1
ちょっとこれでポーランドのリベロ、ザトルスキと比べてみる。
- グレベンニコフ
- ザトルスキ
ボールを受けるために多くの選手が肩と組んだ手を結ぶ三角形を動かすのに対し、グレベンニコフは肘から先に意識が集中しているという感じ。肘をフレキシブルに動かし、プラットフォームのみが動いている印象を受ける。
腕を伸ばしたままだと基本的に体の前でとらなければならないが、腕を曲げることができれば、体の真横や斜め後ろでレセプションしてもプラットフォームの角度を維持できるように思う。
伸ばしても真横でできるにはできるのだろうけど、その場合、肩の線を大きく傾斜させなければならない。
確かに返球自体は伸ばしたほうが安定するのかもしれないが、サーブのスピードが増している昨今、曲げることができたほうが、より早くプラットフォームが完成できるのだろう。
あくまでイメージの話なんだけど、飛んでくる物体を切るのに太刀を使うか、脇差を使うかみたいな感じかもしれない。短いほうが取り回しは断然楽だよね的な。
もちろん全部が全部腕を曲げているわけではない。しっかり腕を伸ばして、レセプションする局面のほうが多い。あくまで引き出しの一つと考えたほうがよいだろう。
日本だと、星野君がこういうプラットフォームに自由度のあるレセプションをよくするように思う。
まぁ、そもそも肘が曲がってんじゃねーかという疑念はあるんだけど。
ただ、この腕を曲げるというテクニックに関しては、フランス代表監督のティリがアメリカのクリニックで紹介した際も大きな反響を呼んだようだ。
High Performance Coaches Clinic | Volley Talk
Report: 2015 USA Volleyball High Performance Coaches Clinic - Coaching Volleyball
カーチ・キライは否定したとかしないとか。確かににわかに信じがたくはあるんだけどね。
もしかしたら、今後トレンドになるのかもしれない。
私個人としてはほとんどレセプションをしたことがないような人間なので、正直良し悪しを測りかねる部分もあるので、議論のタネにでもなれば。