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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

スノーバレーのルールと戦術



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スノーバレーはその名の通り、雪の上で行うバレーボール。
従前より、スイスやオーストリアでは行われてきたらしいが(日本でも)、近年FIVBが目をつけ冬季五輪の種目入りも狙っている。昨年からはワールドツアーも始まっている。


基本的にはビーチバレーに近いルールであるが、大きな違いとしては、15点3セットマッチである点。そして3人で行う点が挙げられる。なぜ、3人に増えているのにビーチの21点3セットマッチより短いのだろう?もともと11点制だったらしいので、寒い中、見ている人のことを考えてなのかもしれない。あと細かい点では、ブロックタッチはワンタッチに数えない、控えが一人いる、手袋とかつけていいなんかがあるだろうか。
以前、3人制の可能性について述べた記事もあったが、実際にトップレベルで行っている動画から、スノーバレーの戦術を見ていきたいと思う。

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昨年のワールドツアー、クロンプラッツ大会の決勝、アメリカ-ロシアを見ていく。

砂と雪の違い

砂質、雪質にもよるので、一概には言えないが基本的には砂よりは雪のほうが硬いようにビデオからは見受けられる。滑るという面はあるだろうが、スパイクのついた靴を履いているらしいので、そこまでツルツルというシーンはないし、反発を使ったジャンプしているので、スパイクの打点はビーチバレーより高いと思われる。ただビーチに慣れた選手にとっては、逆にやりにくいかもしれない。
雪が硬いというのもあるし、そもそも3人いるというのもあるが、ダイブをする場面というのはほとんど見られない。ラリー時間を延ばしたいという理由から3人制にしたのだろうが、結果的にラリーの続く時間はそんなに変わらないかもしれない。「おおっ、それ拾うか!」みたいなラリーもスノーバレーではなかなかない。


エンドラインの後ろのエリアがビーチより狭いからなのか、あまり強いサーブを打つ選手はいない。
ジャンプスピンも少ないと思う。なにか理由があるのかもしれない。

基本的に

両チームともサイドアウトでは2人のレセプション、1人のセッター。ブレイクでは2人がネット際にいて、セットに応じて、1枚ブロックで2枚ディフェンスというのは変わらない。ほかの試合もざっと見てみたが、これはどのチームも変わらなくて、さすがに2枚ブロックを常用するようなチームは見受けられなかった。

チームの構成

アメリカ:ブロッカー、ブロッカー、セッター/レシーバー

ロシア:ブロッカー、ブロッカー/セッター、レシーバー

まだまだ未知の要素が多い3人制なので、誰がどのような役割をするのか、というのは興味の湧くところ。
アメリカは少し身長の低い選手(調べたらいっても190あった)がサイドアウト時はセッターを、ブレイク時は唯一ブロックに跳ばないレシーバーとしてプレーする。もちろんブレイク時でも上げられる場面ではセッターもこなすし、逆に一本目をとったときなどはスパイクを打つ。基本的にはビーチバレーの選手が参加しているパターンが多いので、基本的にはみんな、どのプレーも問題なくこなす。


一方、ロシアは高身長の選手がサイドアウト時でも、ブレイク時でもセッターを務める。アメリカとロシアでは、ビーチバレーのポジションでいえば、ブロッカー2人とレシーバー1人という構成は変わらないが、セッターの役割をするのが、ブロッカーかレシーバーかで異なっている。
ただスノーバレーには控えもいるし、別にローテーションはないので、自在に変化することも可能だろう。

サイドアウトの攻撃

アメリカ:両サイド

ロシア:センターセミとレフト

アメリカはマッキビン兄弟のマディソンが左利きということもあるので、両サイドからの攻撃。しかし、左利きの選手がいないとしても基本的には両サイドからの攻撃をするだろう。この違いはアメリカ側に特徴がある、というよりロシアが真ん中とレフトからの攻撃にしているほうに、より強い理由があるのだろうと思う。ロシアはビーチではブロッカーをしているような選手がセッター役をしているので、極力バックセットをさせたくないのだ(、おそらく)。ビーチでは基本的にはバックセットすることはほぼないので、フロントセットのみで完結させたいのだろう。
一方、アメリカのセッター、マッキビンはもともとセッターでセリエAにいたこともあるくらいなので、言わずもがな。

ディフェンスでもロシアはライン閉めが多め、アメリカが6ゾーン閉め多め、トランジションでも少し違いはあったが、長くなりそうなので、この辺で。ただ、やっぱり3人に増えた分、戦術というか、ビーチよりも選択肢が多いように思う。


スノーバレー、なかなかおもしろいと思う。単に物珍しさもあるが、実際にやってみてもおもしろそう。砂ほど口に入ったり、汚れたりしなそうだし。
冬季五輪でもバレーボールがみられる日が来る日を楽しみにしたい。