Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

石川祐希の行くラティーナってどんなチーム?


By Ayers at it.wikipedia [Public domain], from Wikimedia Commons
(写真はラティーナの名所、サンマルコ聖堂)

ちょっとバタバタしててキューバの件も書けてないんですけど、やっぱりこっちから書いておきましょう。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00329934.htmlwww.fnn-news.com


(健太郎君が乙女を狙うオオカミみたいですね)

悪い選択ではなかったんではないかと思います。
個人的には外国人枠のないドイツやフランスあたりのチャンピオンズリーグ出るチームって方がおもしろかったんですけど、まぁ、日常のリーグのレベルとか考えたら、イタリアの中位に行くというのもなかなか悪くないと思います。
ヴェネズエラの監督であり、新たにラティーナの監督に就任するイタリア人のナッチからの直接のオファーということで、ないがしろにされることもないでしょう。まぁ、能力的にはどこに行っても問題ないとは思いますけどね。
そう考えるとOQTの緒戦がヴェネズエラだったというのもなかなか大きなファクターだったのかなと思います。とはいえ、2月には若手選抜でラティーナにも行ってますし、そこでの評価というのも無関係ではないでしょう。


ラティーナは人口約12万人、イタリアの真ん中あたり、ローマの近くにありますが、基本的には南部に位置づけられる都市だと思います。この南部、北部ってのはイタリアでは結構大きい要素であります。それは後程。
さてそんなラティーナ、今年で45周年を迎えるそうですが、イタリアの中堅of中堅の名にふさわしいクラブだと思います。
ここ数年の成績は8位、6位、12位、7位、9位、12位というある意味安定感を持っているクラブですね。


ラティーナと聞いて個人的に思い起こされるのは2013年のCEVカップ決勝のハルクバンク-ラティーナ。
www.youtube.com


この時は"プロフ"プランディが率いていたんですね。この決勝はトルコのハルクバンクに負けてしまうんですが、この時のハルクバンクの監督は現JT監督のヴコヴィッチ氏。
まぁ、これがラティーナのいわば絶頂ですかね。ラウヴェルディンク、ノダ、ヤロシュのサイド3人でよくここまで来たって感じでした。


では、どんな選手がいるのか見ていきましょう。
正直まだ陣営は決まり切っていないところはありますが、この先、これ以上の大物が入ってくることはないでしょう。
正直、パブロフ、ヨシフォフ、シュケット、ハーシュなんかがいた昨シーズンと比べると予算の問題でしょうか、戦力ダウンは否めないと思います。

アレッサンドロ・フェイ

ラティーナの今シーズンの獲得目玉でもあるフェイ。ミドルとしての印象が強い方もいるかもしれませんが、ここ7,8年クラブはオポジットを務める方が多くなってます。
フェイももう39歳。能力的には若干きつい部分があるとはいえ、その経験は石川君が学ぶべきものは非常に多いと思います。
www.youtube.com

ガブリエレ・マルオッティ

フェイといいもじゃもじゃをなかなか集めていますね。
まぁ、どちらかといえば守りのサイドに分類される選手だと思います。
www.youtube.com

ダニエレ・ソッティーレ

イタリア代表監督のブレンジーニがラティーナの監督をして以来、お気に入りのベテランセッター。
やっぱりイタリアはこういう職人系セッターがいいですね。
www.youtube.com

アンドレア・ロッシ

若手のミドルで注目された時分もあるんですが、なかなかパッとしないですね。
クネオでせっかくマストランジェロがいなくなったのにチャンスを活かせなかったという印象が強いですね。
www.youtube.com


他には、ペンチェフの弟のサイドの方の獲得も噂されています。


サッカークラブでもそうなんですけど、バレーでも強豪で長続きしているクラブというのはイタリア北部に多い傾向にあります。
モデナにトレント、マチェラータにペルージャもみんな北部のクラブです。
そもそもイタリアには裕福な北部、貧しい南部という図式が成立しているからという部分があるのですが、やはり北部の人間はどちらかといえばドイツよりなちゃんとした感じ。
南部の人はスペイン寄りな陽気な感じってイメージもあり、少々危なっかしい傾向があります。
南のクラブなんて今まで真鍋さんの行ったパレルモも一瞬で飛んだ感じですし、モルフェッタなんかは頑張ってますが、ターラント、ソーラなんかは安定しないですね。
位置的なものもあってか、ラティーナはそんな中でも南部のクラブとしてはがんばっているのかなぁという感じです。


もちろん石川選手には試合に出て頑張っていただきたいですが、ちょっと陣営的には厳しい戦いが続くと思います。
ただやはりそんな中で苦しみもがいて、さらなる成長と遂げていただきたいと考える所存であります。

結局道具を使うのは人だという話


photo by FIVB


いやぁ、このような記事が出た直後に、なかなかうまいタイミングで事件が起こるものです。
新しいテクノロジーがもたらす〝光と影〟(後編)


先週のワールドリーグ、フランス-ベルギー戦で、第4セットフランス10-8が0-8になるというちょっとした珍事がありました。
案件としては、2007のワールドカップ、日本-ブラジル戦事件と全く同様のもの。目玉を書き間違えていたものの、審判が気付かず途中でスコアラーが気付き、それまでの点数が無になってしまうというもの。


1時間46分頃から。
youtu.be


結局はどれだけ道具がサポートしても、それを使う人間がそれに胡坐をかいて、注意散漫になっていたら意味がないという証明になりました。


このルールの最たる問題は、前提としてチームの落ち度はあるものの、審判のミスであるはずなのに点数を失うのはチーム側であるということ。日本対ブラジルの記者会見で審判にもミスはあるというなんともな答弁に終始したFIVB幹部の詭弁が思い返されます。
レベデフ師匠もたぶんすべてのスポーツの中で最もバカなルールだと断罪しています。



この件はラインナップシート(目玉)にはフランスのミドル、#10ル・ルーが記載されていたにもかかわらず#14ル・ゴフが実際にはプレーしてしまっていたというもの。間違いがミドルに関するものというのもブラジル戦の時と同じですね。歴史は繰り返す。まぁ、すぐにリベロが入るのでわかりにくい話ではあるのですが。


まず副審はセット開始前のラインナップ確認でそれを見落とし、目の前のタブレットで常にラインナップが表示されているにもかかわらず、#14が前衛3ローテプレーしているのも見落とし、なおかつ#14がサーブを打ったにもかかわらず、スコアラーすらそれを見落としてしまうというなんという体たらく。気づいたのは次のトニウッティのサーブ時でした。公式記録がデジタル化されてことによる油断が招いた事件ともいえるでしょう。

結果、フランスはリードを失い、それを引きずったのかフルセットで敗れてしまい、当然ながら残されるのは恨み節。まぁ、前提として目玉を書き間違えなければこんなことにはならなかったのですがね。


e-scoresheetの導入は間違いなく進歩ではあるのですが、問題となっているのは結局上記記事中にもあるように運用の部分です。
道具がどれだけ優れていても結局使うのは人間。それを忘れてしまうと痛い目を見るという教訓を肝に銘じておきたいものです。


新しいパター欲しいなぁ…

バーリの薄明りの下で


photo by FIVB

ワールドリーグが今週から始まっている。FIVBのYoutubeチャンネルで全試合ライブで、しかも後からでも見られる。眠い目をこすって野良ストリーミングをあさっていた数年前なんて遠い昔のように思える。
しかもオリンピックの短縮日程のため、例年とは違い、4チームが1会場で週末6試合を戦うという形なので、以前だったら日本時間深夜の試合がほとんどだったのが、ヨーロッパの第1試合であれば日本で夜の9時10時なので、比較的楽にみることができている。今後の週末も非常に楽しみである。


さて、女子の話題。
昨日のワールドグランプリ、イタリアはバーリという都市で開かれたイタリア対タイ戦。
停電で試合が中止になるというハプニングが起きた。


まぁ、普通は灯りが全部ついたら普通に再開するのであるが、故障か詳しい原因はわからないが、この試合ではフルに点灯することなく試合が延期となってしまった。
中断中は選手たちは各自動いたり、ペッパーなんかをして体を冷やすのを防ぐのだが、中断が30分を過ぎたあたりでイタリアとタイの選手たちが一本返しのバレーボールをはじめ、終いには両チームみんなで踊りだした。


www.youtube.com

フル動画
photo by FIVB

どういう流れでこういうことになったのかはわからないが、観客はこれはこれで楽しんでいたようである。
中断中でも観客が楽しめるようにと考えたかもしれないし、単に選手のテンションが上がってて、とりあえず勝負しようぜとなったかもしれないし、もう飽きたからなんかやらね?かもしれない。
でもなんか、いいよね。


なにより、選手たちが楽しそうなのが、いい。
ふと思ったんだけど、おもてなしとかホスピタリティって相手のことを思いやるって大切だと思うんだけど、なんかそれやられすぎるとなんかクドく感じちゃうっていうか、押しつけがましくなっちゃうことって結構ある気がする。自分自身が楽しむことも大切だよなーとあんま関係ないけど、自分らが楽しんで観客を喜ばしてるイタリアとタイの選手を見て思ったりしたわけです。

今こそ日本に来てほしい外国人監督7選

今が旬だろうということでちょっと書いてみる。
ほんとはマッカーチョンとかベラスコとかロサノとかも挙げたいところであるが、さすがに実現度があまりに低いものは割愛してみた。


実現度が低いとはいえね、2020五輪には開催国で出場できるというのは各国の監督にとっても大きなメリットになると思うよ。

ベルナルド・レゼンデ(ブラジル)


photo by FIVB
言わずと知れたベルナルジーニョだが、やはり2016リオが一区切りとなるはず。欲を言えばレルバッシと共に来てもらい、日本の普及育成から抜本的に見直していただきたい。
もちろん実現度としては相当低い話であろうが(予想だが政治家になるよ、たぶん)、彼が来ることが一番の理想だとは思っている。

アンジェロ・ロレンツェッティ(イタリア)


By MaryG90 (Own work) [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)
イタリア人のロレンツェッティはモデナの監督だったため、石川君ともやっているのでご存知の方も多いかもしれない。ナショナルチームでの監督経験はないので、そこは若干不安ではある。圧巻はオポジットにスーパーエースを置かないでスクデットを獲得した2008/09年シーズンのピアツェンツァ。柔軟な采配に恐れ入った。今年もモデナでスクデットを獲得している。
もちろん人によって異なるであろうが、特にラテン系ヨーロッパの監督はチームを抜本的に変えるというよりは、あるものをうまく組み合わせて結果を出すというマインドが強いように思う。なので、就任しても大きく変わった!という部分はあまりないかもしれない。

マルセロ・メンデス(アルゼンチン)


photo by FIVB
ベラスコ、ロサノ、カステラーニetcと世界中で成果を挙げているアルゼンチン人監督であるが、ブラジルスーパーリーガを3連覇中のクルゼイロの監督、マルセロ・メンデスもアルゼンチン人である。バレーの本場ブラジルには外国人監督はほとんどおらず、そこで結果を残しているというだけでもすごいことであろう。たぶん次期ブラジル代表監督はこの方かガビオ・ジオバーニになるんじゃないかなぁ、と踏んでいる。
乱闘でキレてしまった選手を自ら取り押さえる姿はちょっと惚れてしまう。
Mario Jr. (RJ Vôlei) x Serginho (Sada/Cruzeiro) - Desentendimento Pesado após Jogo. HD (26/02/14) - YouTube

マーク・レベデフ(オーストラリア)


photo by FIVB
ご存じわが師匠のオーストラリア人、マーク・レベデフ。
ただあくまでブロガーとして、バレーボールを観るものとして、尊敬しているので、指導者としてそこまですごいかと言われたら、そこは若干疑問符はつく。ただドイツブンデスリーガでの優勝など実績はある。
At Home On The Court | Volleyball Thoughts by Mark Lebedew

ラドスティン・ストイチェフ(ブルガリア)


photo by FIVB
ストイチェフは現在イタリアトレントの監督でブルガリア代表の監督を務めていた時期もあった。カジィスキのお師匠さんとしても知られている。
トレントでの世界クラブ選手権4連覇などの実績も持つ。ぜひね、もう代表にはいかないカジィスキも手伝っていただいて、日本の選手たちにサーブを打ち込んでいただきたい。
練習が厳しいことも有名である。

アンドレア・アナスタージ(イタリア)


photo by FIVB
現在はポーランド、グダンスクで指揮をとるアナスタージ。イタリア人監督はいっぱいいるけど、実際世界でほとんど勝てないってのは以前どこかで書いたんだけど、男子バレーで国際大会を制したことのある唯一の監督がアナスタージである。アナスタージは人当たりがとてもよく、人格がとても良いと聞く。まぁ、もちろん世界で結果を残す監督ってのは人当たりなんかはみんないいんだろうけど。いや、ストイチェフは破綻してるってのもよく聞くな。

グレン・ホーグ(カナダ)


photo by FIVB
現カナダ代表の監督なので、ご存知の方も多いはず。クラブはトルコのアルカスを見ておられ、なかなか多忙ではある。
やっぱりディフェンスが緻密だなぁと感じる。ちなみにカナダ代表のホーグ選手は息子さん。
もちろんカナダが放すはずがないので、実現度は低いが、前田健さんの絡みでなんとかなんねーかなと妄想はしてしまう。



ざっーとプラス実現度が低いのばかりあげてみたが、やはりクラブで監督している方はちょっと難しいかなぁと思う。
もちろんVリーグで監督されている外国人、特にクリスティアンソンなんてのも面白いだろう。


まだまだルビンの監督でルーマニアのクレトゥとかジラートバンクのベニーテスとか、ロサノ右腕のキケーロとか、気になる監督は結構いるんだけど、誰が来るかは大した問題ではなくて(いやまぁ大事だけども)、日本バレーボール協会が呼べる体制になれるか、というのが唯一のポイントになるだろう。

こだわらないこだわり


photo by FIVB


2016OQTが終わった。
考えたくはなかったが、想定していたパターンではあった。
W杯と同じ戦闘能力であれば、突破できる可能性は高かったであろう。しかし、オリンピック予選というのはいつもと同じ力が発揮できるほどそんなに甘い大会ではないと思うし、他国の本気度だって違う。
怖いもの知らずであった若者たちにも失うものができてしまった。ベテランに見えた中堅たちも結局は独り立ちできていなかった。そんな風に見えた大会であった。


中国戦の中盤。完全に停滞したチームに何も打つ手はなかったのだろうか。セッターを替えることはできなかったのか、せめて2枚替えで変化があるのかを試してもよかったのではないか。さしてチームにアクセントを与えられないオポジットとリベロをあそこまで引っ張ってもよかったものか。あそこまでコミットをし続けてよかったのか。
そもそもあのようにゲームが停滞することを想定していた人選だったのか。
すべて結果論ではあるが、私はあの試合を見ていて「こだわり」「拘泥」を感じてしまった。
成功体験へのこだわり、特定選手へのこだわり。そんなこだわりがチームを壊してしまったように私は思う。


今、世界のバレーボールのトレンドは多様性にあると思う。
つまり引き出しの多さと、それらをいかに適切に使うかが問われている。
ヌガペトの選択肢のあるプレーコートにセッターがいないときにすんなりパイプにあげられるクビアク。サーブの使い分け、ブロックシステムの使い分け。


采配でもフランス戦、温存の要素もあっただろうがクレク、クビアクをすんなり下げたアンティガ、ガフールにこだわらなかったロサノ。オポはほぼ併用だった中国。
そういう意味ではフランスは采配の部分で、引き出しの数が少し足りないのが今後も難点になるだろう。


一つのプレー、一人の選手、一つのチームにこだわらないこだわりをトップチームからは感じることができる。



日本は「道」の精神も相まって、ものごとにこだわる、というか一つのものごとを極めるのが美徳と感じる部分はあるのかもしれない。段階的なステップの中で、100点を取らなければ次へ進めないといった経験も学生生活で幾度もした。新卒至上主義なんかもその一つかもしれない。


まぁ、その他、準備期間というか海外とアジャストする時間の短さ、ブロックシステムの問題などは所々の総括記事などで語られているのが、まさにその通りであろう。
高さ、パワーの差で終わらず、そこまで踏み込んだ記事が出てきたことは大きなことだと思う。


今こそドラスティックな変革が求められているのは間違いない。
ここでしっかりと実績のある外国人監督を招聘できなければ、東京に出たとしても予選ラウンド負けで終わるだけであろう。
日本バレーボール協会はこだわりを捨てるべきである。