VISについてまとめてみる
今更ながら、VIS(Volleyball Information System)についてちょっとまとめてみたいと思う。
バレーボールのゲーム記録をつけてるあれ。テレビ中継でよく黄色いヘッドセットをつけている人たちがやってるあれ。
どうも遠く離れた国際大会などでは、この記録に頼らざるをえない。
しかも国際大会のベスト〜は、全部このシステムを使っているので、賞金をも左右する大事なシステム。
今日はP3(選手個人評価ランキング)について。
とりあえず、ここらへんを見ながら、
http://www.fivb.org/vis_web/volley/WL2009/pdf/P3-006.pdf
まずはスパイク。
これは単純に決定率を表している。
Spikes:スパイク決定
Faults:失点(被ブロック、ミス)、ミスだけではないことに注意
Shot:決定にもミスにもならなかった数
Total Attempts:全打数
で、一番右に来るNotesの部分には、決定率が通常来るのだが、大会によっては(Spikes-faults)/Total Attemptsで示される効果率になる場合もある。
ユニバなんかはその好例。
http://results.ub2009.org/results/pdf/VO/VO_C83_VO040000300033ENG.pdf
もちろん、効果率の方が選手の評価には適した数字と言える。
ブロック
Kill Block:ブロック決定
Fault:ブロックに当たって結果的に相手の点数になった本数(タッチネット含)
Rebound:相手コートに返った数だと認識されがちだが、継続した本数
Total Attempts:全タッチ数
Note:決定/セット数で表されるセット平均
セット平均という数字は後々も出てくるが、どうもこれが釈然としない。だって、ワンポイントで出てくるブロッカーには絶対ベストブロッカーにはなれないし、5セット戦うチームは不利ということになる。相手のトス配分にも左右される。本当は自分がジャンプしたときの決定本数(含むグループブロック)がベストだろうなー。でも、決定しなくてもコース絞るナイスブロックもあるから難しいところ。
サーブ
Ace:サービスエースの数
Fault:サーブミスの数
Serve Hits:エースにもミスにもならなかった数
Total Attempts:全打数
Note:エースをセット数で割った数。
ここでも出てきましたセット平均。サーブはさらに顕著で、ローテーション上、サーブを打つ打数が少ない選手には圧倒的不利ということになる。エースだけで決めるのもどうかと思うけど、せめて分母は全打数にしとけよ、と。日本の(ノータッチ×100)+(エース×80)+(効果×25)/打数はさらに難解。は?ってかんじ。
ディグ(スパイクレシーブ)
ディグとセットは大会によってはとらない場合もある。
Dig:成功したディグの数
Fault:ディグの失敗数
Reception:このへんは微妙。もしかして普通のパスも含まれる?
Total Attempts:総ディグ数
Note:ここもセット率
セットとディグは非常に評価として難しい。というかいらないだろレベル。
ディグなんてそもそも触れなければカウントされないわけで…(ry
セット(トス)
もっともやっかいなのがこれ。
Running Set:相手ブロックが1枚もしくは0枚になったトスの数
Fault:トスミス。もしかしたら、反則のみをあらわすかもしれない。
Still Set:2枚以上のブロックがついてしまった数
Total Attempts:全セット(トス)数
Note:ランニングセット/全セット数
やっかいなのが、まず用語の難解さ。Running Set、Still Set。今まで、多くの方がセッターが走りながらトスをあげた数、その場でトスを上げた数という間違った認識をされてきた。でも普通そう思うって。おそらくは相手ブロッカーがrunningしたという意味だと思われる。しかも、評価基準がめちゃくちゃ曖昧。たとえば、一番上のリンクしたP3では宇佐美選手が9.00、3セットでRunning Set27に対して、リンクしたユニバのP3では、菅選手が1.25、4セットでRunning Set5。いくらなんでも普通ここまで差がでない。現代バレーではカットさえはいれば、7割以上はブロック1枚にできる。なぜここまで差が出るか、もちろん判定員の主観が多い。現に翌日のエジプト戦では、7.67、3セットで23本のRunning Setという結果だ。しかも、どうやら難しいボールを良いトスにした場合もRunning Setに入ることがあるという噂も聞き、なんとも?である。
ほかにもレセプションに影響されているという要因もある。2段トスで1枚にするのは、難しい話だ。サーブでめちゃくちゃ崩されたら、この数はどーんと下がる。
しかもベストセッターを決める基準はセット率なので早い話、レセプションがよく返るチームで、2枚替えもなく出続けたセッターがとりやすいのだ。某世界最強最○セッターみたいに。
レセプション(サーブレシーブ)
Excellent:セッターに返ったレセプションの数(直訳ではセッターの理想のエリアに返った本数)
Fault:失点した数。
Serve Reception:セッターには返らなかったが失点はしなかった本数
Total Attempts:全本数
Note:これも大会によって違う場合がある。Excellent/Total Attemptsの単純成功数と、
(Excellents - Fault) / Total Attemptsの効果率の二つだ。
これも主観なので、非常にあやふやな数字。あやふやさは以前のエントリーでかいたとおり。また、ノータッチエースはどこに入るのかという疑問もある。失点されたのにカウントされないの?*1
そもそもバレーボールってのは、個人評価が難しい競技ではある。たとえばトスが悪ければベストスパイカー取れないわけだし、トスについても前述の通り。ブラジルなんかは、そういった個人賞の賞金はチームで山分けするそうだ(協会にも入れて)。みんなの力がなきゃとれないのだが、冷静に考えれば当然だ(サーブだけ個人どりだったりして…)。でもそのへんのいざこざでリカルドは代表を去ったのではという話もある(参照リカルドー? - インジゴブルー)。
なんでもかんでも数字で出そうとするから、ボロがでる。スパイク決定率は野球で言えば打率みたいなもんで、じゃあベストセッターはベストキャッチャー賞?そんなん出せないって。棒球で打たれるのは、キャッチャーのせいですか、と。良いじゃん主観で。いうか大学リーグのセッター賞とかレシーブ賞とかリベロ賞とかベストオブサポート賞の不条理感好きよ。おまえかー?(苦笑、みたいな感じ。でも主観だと思うとなんだか許せるから不思議。
*1:されてたらごめんなさい