Stay Foolish

バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

正直モーションスカウターはあやしいと思う




photo by FIVB


単に私が疑念をもっているという話ですのでね。
もしかしたら、私が全面的に間違っている可能性もありますので、そのあたりはご了承ください。


さて、モーションスカウターとはなんぞやということですが、

独自のバレーボール映像解析システム「モーションスカウター」を導入して、スパイク時の「高さ」「速さ」&サーブの「速さ」(※男子大会のみ)をTV画面へリアルタイムで表示!
バレーボーラーの身体能力の高さをダイナミックに伝えます!

デジタルワールドカップ|バボちゃんネット - フジテレビから引用



いわゆるトラッキングシステムを活用したシステムだと思ったわけですが、どうも数値が怪しいんじゃないかと疑念を抱いています。


リアルタイム解析システム“モーションスカウター”今日の日本女子チームNo.1の発表!<アタックの高さ>#1 長岡 望悠選手 300cm

Posted by フジテレビ バレーボール on 2015年8月27日


さて、昨日のドミニカ共和国戦で一番高い打点とされている長岡選手のスパイクが300cmと言われているわけですが、どうもアンテナとの対比を考えるとあやしいように思います。
バレーボールのアンテナの紅白は10cm刻みでつけられています。つまりアンテナはネット上から80cm露出しており、アンテナの頂点の高さは、女子のネットの高さ224cm+アンテナの露出部80cmで304cmとなります。
300cmと言えばアンテナの頂点とほぼ同じ高さで打っていなければならないのに、せいぜいアンテナの紅白下から4つ分というところ。あくまで目測でいえば大体265cmといったところでしょうか。



実際、最高到達点と打点高はどれくらい違うでしょう。
http://jsvr.org/archives/pdf/issue/13/pp01-07.pdf
上記の永田らの研究によると打点高/最高到達点の比は89.5%という結果が出ており、先行研究でも軒並み90%前後。
上記論文の先行研究を引用したものによると、男子の日本代表チームの平均打点高は302cmと報告されています。男子で平均302cmです。そう考えると、女子で3mというのはなかなか難しい話のように思います。


FIVBサイトによる長岡選手の最高到達点310cmを用いて、その90%となると279cmが彼女のおおよその平均打点高ということになります。
Player - Miyu Nagaoka - Women's World Cup 2015


動いているボールを打つわけですし、力の入るポイントと最高到達点はまた違うわけですし、まぁ、そんなものかなぁと思います。
となると果たして、モーションスカウターの300cmという数字は果たして信頼のおけるものなのでしょうか。


二つ目の疑念としては、全体のデータがどこにも公開されていないという点。
こんなに有益な数字なのですから、どこかにでも公開していただきたいと思うところです。
ちなみに試合のデータが見られるdigital second court、これは素晴らしいですね。digital-second-court.jp


まぁ、あとサーブのスピードが男子大会だけというのも怪しいです。結局映像からの解析ではなく手計測なのでは?という疑念がふつふつと。


いや、もちろんホントに300cmで打っているのかもしれません。
私の杞憂で済んでくれたらそれが一番いいのですけどね。