セルジオに贈る愛
バレーボールにおいて、唯一得点の取れないポジション、リベロ。
その代表キャリア最後のプレーはサービスエースだった。
先般のリオ五輪で金メダルを取ったブラジルは、記念試合としてブラジルの異なるサッカースタジアムでポルトガルを相手に2試合を行った。
国民への顔見せ、パレード代わりというのが大きかったが、もしかしたらこの試合の興行収入なんかが選手のボーナスになったりするのかもしれない。
そして、この試合はリベロ、セルジオの代表引退試合でもあった。
特に二日目のエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアでの試合は、かんかんの太陽が照り付けるなか、両チームのセッターはサングラスをかけ、帽子をかぶる選手もいるなどなかなか物珍しい試合となった。
そして大差で迎えたマッチポイント、コート上の11人、両チーム、審判、そして4万人の観客がセルジオに贈ったのは初めての「得点」だった。
それは長年、ブラジルのコートを守り続け、数多くのメダルをもたらしたセルジオに対する愛であり、別れの哀であった。