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バレーボール(主に男子)をいろんな視点から見ていくブログ

きょうのセッターその30 ラウル・ディアゴ



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4セット目終盤のデスパイネ祭りは必見。日本語実況なので、なかなか楽しめるかと。


90年代デスパイネが活躍していた時代のキューバのセッターがラウル・ディアゴ
キューバのセッターというと身体能力を活かして、といったタイプのセッターが多いが、ディアゴはセッターっぽいセッターで20年近く代表でプレーした。


動画の試合は1990年の世界選手権決勝。この試合のとき23歳。この前年のワールドカップで優勝、1998年のワールドリーグの優勝はあるが、この大会の準優勝を始め、ワールドカップも準優勝1回、ワールドリーグは準優勝5回となかなかシルバーコレクターである。


デスパイネは「El Diablo(悪魔)」という二つ名で知られているが、ラウル・ディアゴは「El Mago(魔術師)」と呼ばれた。それはウィリアムのようにそのトリッキーさから魔術師と呼ばれたわけではなく、セッターであると同時に、趣味が手品だったことからそう呼ばれたという。その時点でちょっとアレな感じなのだが、引退後、キューババレーボール連盟の会長をしていたものの汚職騒動で職を追われることになる。それを「さすが魔術師」といった感じで揶揄されているのには、さすがに草生える。


ただ爆発的なジャンプやそこからのダイナミックなスパイクやサーブを代名詞とするキューバ代表においては、そのなめらかな動きやリズムのあるセッティングは相対的に魔術師といってもそこまで間違いということもできないだろう。
キューバというと豪快なスパイカーが多いので、そちらに目がいってしまうが、そのスパイカーを活かすも殺すも結局はセッターなのだ。結局スパイカーがどれだけすごくても、セッターの器以上の強さは発揮できないものだ。
ジャンプセットはあまりせずに、急がずにしっかり打点の高いスパイカーに合わせている。ハイソックスを履いていることが多いことも相まって、少し女子的なセッティングをイメージさせる。
この動画でキューバは、セッターのディアゴのみジャンプサーブ打っているというのもなかなかおもしろいポイントである。


やれ亡命だ、いつの間にかいなくなってしまう選手の多いキューバにおいて、これだけ長い期間代表でプレーしていたということだけでもすごいことだと思う。
現在はアルジェリアの代表監督を務めるディアゴであるが、世界大会でもう一度その姿を見てみたいものである。